近年若い年齢層の間で、前歯だけ矯正をしたいと考えている方が増えています。
「前歯のすきっ歯が気になる」
「前歯だけ歯並びをよくしたい」
と考えている方も多いはず。前歯矯正は部分矯正とも呼ばれており、気軽にできる矯正として紹介されていますが、理解してから始めないと後悔する可能性があります。そこで前歯矯正のメリットとデメリットを紹介します。
前歯だけの矯正はできる?
部分矯正は症例にもよりますが、前歯だけの矯正は可能です。 従来の矯正では「全顎矯正」と呼ばれる矯正で、歯並びやかみ合わせの改善を行っていましたが、前歯だけ歯並びの改善を目的として行う「部分矯正」を希望される方が増えてきました。
しかし、奥歯の噛み合わせが改善されないため、全体の仕上がりに限界があります。前歯だけでもきれいに揃うと見た目の印象が変わりますが、前歯の矯正を行う前にしっかりメリットとデメリットを理解しておきましょう。
前歯矯正のメリット
前歯矯正は歯の一部を動かす治療方法です。様々なメリットがあるので、事前知識として知っておきましょう。
全部矯正と比べて金額が安い
全部矯正と比べると、安く済むことがあります。歯科医院や症例、矯正方法によって異なりますが、おおよその金額は30~80万円です。
比較的短期間で矯正が可能
前歯の矯正は比較的短期間で矯正が可能です。奥歯と比べて前歯は歯の根っこが短くなっています。そのため歯を動かしやすく、短期間で済みます。
全部矯正では1年半~2年半ほど期間を必要としますが、前歯の矯正では半年~1年ほどと、短期間で前歯の歯並びを改善することができます。
かぶせ物をせずにきれいな歯並びになる
かぶせ物で前歯の並びを改善する治療方法もありますが、自分の歯を大きく削ってかぶせる必要があります。前歯の矯正は自分の歯を動かすため、一部の症例を除いて削らずに歯並びの改善が可能です。
またかぶせ物の場合は寿命があるため、定期的なメンテナンスやいずれやり替える必要があります。
前歯矯正のデメリット
メリットが多い前歯の矯正ですが、デメリットをしっかり理解したうえで治療方法を選択する必要があります。
かみ合わせの改善はできない
歯の一部を動かすため、奥歯のかみ合わせの改善は見込めません。本来の矯正はかみ合わせの改善を目的としています。かみ合わせが改善されると歯にかかる力を分散し、生涯に渡って多くの歯を残すことができます。部分矯正を選択する際はかみ合わせを考えて選択することをおすすめします。
前歯の矯正では仕上がりに限界がある
矯正治療は高額な治療になるため、結果に期待を持ちます。しかし、重度のでこぼこした歯並びや八重歯といった症例では、仕上がりに限界があります。仕上がりの限界があることを知らずに前歯の矯正を行ってしまうと、後から「イメージと違う」といったトラブルの原因となります。
前歯だけの矯正を行う際は、歯科医師とよく相談して矯正のゴールを決めることが非常に大切です。また矯正方法によってシミュレーションで治療後の歯並びを知ることができます。トラブルにならないためにもしっかりと説明を受け、理解したうえで治療を始めましょう。
歯を動かすスペースを確保するため削る必要がある
でこぼこした歯並びを改善する際に、歯を並べるスペースの確保が必要です。そのため歯と歯の間を0.03~0.08mmほど削る必要があります。
前歯の矯正方法
前歯の矯正方法はブラケット矯正とマウスピース矯正があります。
ブラケット矯正
重度のでこぼこした歯並びや歯を抜く必要があるケースはブラケット矯正が向いています。ブラケットと呼ばれる装置を歯の表面に装着して、ワイヤーを通す矯正方法です。
裏側矯正
ブラケットを歯の裏側に装着して、ワイヤーを通す矯正方法です。歯の裏側で矯正を行うため、気づかれずに歯並びの改善ができます。通常のブラケット矯正と比べて費用がやや高くなる傾向があります。
マウスピース矯正
軽度なでこぼこした歯やすきっ歯はマウスピース矯正が向いています。薄く透明なプラスチック素材のマウスピースを、1日20時間以上装着して歯を動かす方法です。目立たずに矯正ができるので近年人気がある矯正方法です。
まとめ
前歯の矯正は全顎矯正と比べて安く、短期間で治療が可能な矯正方法です。しかしメリットとデメリットをよく理解せずにはじめてしまうと「こんなはずじゃなかった」と後悔する可能性があります。
前歯の矯正では、良くも悪くもかみ合わせの改善ができません。一部の歯に負担がかかっており、歯の寿命が短くなる可能性がある場合は、全額矯正の選択をおすすめします。
前歯の矯正方法はブラケット矯正とマウスピース矯正があります。ケースによって向き不向きがあるので、歯科医師とよく相談して最適な矯正方法の選択をしましょう。