2022.12.23更新

歯列不正とは?種類・症状・治療法を解説します

「歯並び」というものは人によって大きく異なり、後天的に歯並びが悪くなってしまうケースもあります。
いわゆる「歯列不正」と呼ばれる状況ですが、これを放置するとさまざまな健康被害をもたらす可能性があるのです。
そこで今回は、歯列不正とは何なのかについて解説します。

 

歯列不正の種類

まずは、歯列不正の種類について解説します。

 

叢生

顎の大きさが小さいなどの原因で歯が生えるスペースが足りず、歯がでこぼこしている状態を指します。
幼少時に指や舌を噛む癖があると叢生になる可能性が高まるとされています。
4種類の歯列不正の中で症例の割合が最も多く、これを放置した場合は歯磨きがしづらいことによって歯周病や虫歯などのトラブルのリスクが高まり、口臭が悪化しやすくなるのです。

 

上顎前突

前歯や歯茎、上顎が飛び出している状態で、いわゆる「出っ歯」とも呼ばれている症状です。
見た目が悪いだけではなく、ケガをしやすかったり咀嚼がしにくくなるといったデメリットがあります。
生活習慣においては、口呼吸や指しゃぶりなどの癖が上顎前突の原因となるリスクを高めるとされています。

 

下顎前突

下の歯が突き出ている状態で噛み合わせが上下逆になっており、いわゆる「受け口」と呼ばれている症状です。
見た目の悪さだけでなく、発音への影響や顎関節症を発症するリスクを高めるといったデメリットがあります。
指しゃぶりや舌で下の歯を押す、頬杖をつくことが多いといった生活習慣の癖、口呼吸の癖が後天的な原因となる場合があるのです。

 

開咬

奥歯を噛み合わせても前歯が噛み合わず、口が自然に開いてしまう状態です。
この歯列不正になると本人も気づかないうちに奥歯を使いすぎているケースがあり、顎関節や筋肉に無用な負荷をかけて顎関節症を併発していることもあります。
生活習慣においては、指しゃぶりや口呼吸などの癖が開咬の原因になっているケースが多いです。

 

歯列不正による症状

歯列不正を放置すると、さまざまなデメリットを受けることになると考えられます。

 

見た目のコンプレックス

歯列不正は、その見た目の悪さからコンプレックスに感じる方が少なくありません。
人前で笑ったり食事をするなど、歯並びを見られてしまうようなシーンを嫌がるようになり、どうしても人付き合いに支障をきたすことになります。
コロナ禍においてはマスクをすることでこの問題を解消できますが、いずれ人前でマスクをするのがあまり自然ではなくなった際に困ることになるでしょう。

 

歯の病気の原因になる

歯列不正は、歯磨きの難易度が上がり虫歯や歯周病などの口腔内トラブルのリスクを高めてしまいます。
不正な歯並びは歯ブラシが細かい部分にまで届きにくくなってしまい、どうしても磨き残しが増えるなど歯磨きの質を低下させてしまうのです。
虫歯や歯周病などのトラブルがあると歯列矯正をスムーズに開始することができなくなってしまいますので、早めに治療を開始しないと完治までに相応の時間をかけることになるでしょう。

 

食事に支障をきたすようになる

歯列不正は上下の歯のかみ合わせが悪い状態ですので、必然的に「食事」にも咀嚼の観点で悪影響を及ぼすことになります。
消化不良の原因になることもあり、自然と食事に対して消極的になってしまうでしょう。

 

発音に支障をきたす

一部の言葉の発音には、少なからず歯の動きが関わっています。
不正な歯並びだと一部の言葉を発音しにくくなったり、舌の動かし方などの癖が残ってしまうと歯列矯正後も発音の不正が残ってしまうケースもあるのです。

 

歯列不正の治療法

歯列不正を治療する一般的な方法は「歯列矯正」です。
歯列矯正はワイヤーやマウスピースなどの専用の器具を装着することで不正な歯並びを少しずつ動かし、正常な歯並びへと直していく治療法になります。
ただし、器具を装着するだけでは歯列不正を改善することができなケースも多く、その場合は歯を動かすスペースを確保するための抜歯や、あごの骨を手術するなどの治療を選択することもあります。
歯列矯正が完了するまでにかかる期間は、歯列不正の症状の重さや、選択する治療法によって異なります。
軽度の歯列不正であれば負担の少ないマウスピース矯正で、早ければ半年ほどで治療を完了できるケースもあります。
一方で重度の歯列不正の場合だとマウスピース矯正は適切な症例にはならず、ワイヤー矯正を選択して数年単位で歯並びを改善していく治療方針を選択することも多いです。
また、治療開始時に虫歯や歯周病などのトラブルが発覚した場合、そちらの治療を優先します。
歯列矯正というと子供がやるイメージをお持ちの方も多いですが、大人になってから歯列矯正を行っても決して遅すぎるということはありません。
歯列不正を放置するデメリットは決して小さなものではありませんので、歯並びが気になるという方は早めに歯科医院に相談して治療を開始してください。

 

まとめ:健康被害をもたらす歯列不正は早めに治療を開始しよう

歯列不正は、心身ともにさまざまなデメリットをもたらす存在です。
大人になってからでも歯列矯正は遅いということはありませんので、まずは気軽に歯科医院に相談して、治療方針を決定してください。

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投稿者: 西本歯科医院

2022.12.07更新

睡眠時の歯ぎしりの原因とは?治療法を解説します

「歯ぎしり」は、音の被害もさることながら、健康な歯を傷つけてしまう原因になります。
睡眠時の無意識な歯ぎしりをなんとかしないと、健康な歯の寿命を削ってしまう結果になるでしょう。
そこで今回は、睡眠時の歯ぎしりの原因や治療法について解説します。

 

睡眠時の歯ぎしりの原因

睡眠時の歯ぎしりの原因は「浅い眠り」にあります。
通常、深い眠りを実現できている場合、筋肉の緊張がほぐれて、歯ぎしりをしてしまうリスクは小さいのです。
しかし、何らかの原因で眠りが浅い状態が続いていると、筋肉のゆるみが起こらず、歯ぎしりをしてしまいます。
眠りが浅くなる原因はさまざまなことが挙げられますが、たとえば飲酒や喫煙、コーヒーなどによるカフェインの過剰摂取やストレスの蓄積などが挙げられます。
また、歯ぎしりの原因になるような浅い眠りの原因としては、病気である睡眠時無呼吸症候群や逆流性食道炎などの存在も疑われるため、これらが原因になってる場合は専門的な治療を必要となります。

 

睡眠時の歯ぎしりにより発生するデメリット

睡眠時に歯ぎしりを続けてしまうと、以下のようなデメリットを発生させてしまいます。

 

健康な歯がすり減ってしまう

通常、歯の硬さは相当なものですから、簡単にすり減ってしまったり欠けてしまうようなことは起こりません。
しかし、接触しているのが同じ硬さを持つ歯同士の場合だと、お互いの硬さによって睡眠中に歯がすり減ってしまうリスクを高めるのです。
就寝中に起こる歯ぎしりは、通常の食事などでの咀嚼とは異なり、本人の体重またはそれ以上の力が加わるとされています。
つまり、歯と歯が必要以上の力ですり合うことになるため、噛み合わせの凹凸が徐々に失われてしまい、咀嚼の機能が低下するだけでなく正しい噛み合せの位置も分からなくなってしまうリスクを高めてしまいます。

 

歯周病の発症リスクを高めてしまう

歯ぎしりによって強い力がかかるのは歯だけではなく、歯を支えている歯茎や顎の骨にも影響を及ぼします。
これらの部位に強い力がかかることで歯が揺さぶられてしまい、歯茎が徐々に痩せ始めてしまいます。
これにより歯と歯茎の間の隙間が広がると、そこに細菌が入り込みやすくなり、歯周病が進行してしまいます。
また、犬歯への摩耗が加わると前歯と奥歯のバランスが崩れてしまうため、結果として奥歯が歯周病になりやすくなるとも考えられています。

 

知覚過敏になってしまう

歯ぎしりによって歯が削れるということは、要するに「歯の表面のエナメル質の量が減る」ことを意味しています。
歯のエナメル質は他の組織に比べて硬く、歯を守る役目をもっていますが、これが薄くなると歯の内部へと刺激が伝わりやすくなるのです。
それによって起こるトラブルが知覚過敏で、軽度であれば温度差のあるものを避けることで症状を回避できますが、重度の知覚過敏になると歯ブラシの毛先を当てることすらできなくなってしまいます。

 

顎関節症になってしまう

歯ぎしりは、強い力で歯と歯が噛み合いながら下顎が前後左右に動きます。
下顎は顎の関節と繋がっており、ここに過度な負担をかけてしまう「顎関節症」を引き起こしてしまうのです。
起床時に顎の痛みを感じる方は、睡眠時に歯ぎしりをしている可能性があり、これを放置すると顎関節症を発症するリスクが高まります。
この症状が悪化すると普段の会話や食事などの行動にも支障をきたすようになりますので、十分な注意が必要です。

 

頭痛や肩こりの原因になる

咀嚼時には下顎と繋がる顔面の筋肉が働いているのですが、その筋肉は首や肩、背中などにも繋がっています。
睡眠中の歯ぎしりによる負担は、顎の関節以外の部位にも関与している筋肉が緊張を起こしやすくなるので、これに繋がっている首・肩・背中にも悪影響を及ぼすのです。
その結果、肩こりや頭痛、背中の痛みなど症状の原因になり、歯ぎしりの状況によってはこれらの痛みが慢性化するリスクもあります。

 

歯並びが悪くなる

歯と歯が強い力でぶつかり合うことになる歯ぎしりは、歯が揺れ動く原因となって歯並びに悪影響を及ぼすリスクがあります。
歯並びが不適切な状態になることで咀嚼機能の低下や歯周病の悪化、虫歯が発生しやすくなるなど、さまざまなトラブルの原因になります。
悪化した歯並びの矯正には相応の時間が必要になりますので、その原因となる歯ぎしりを放置することは危険なのです。

 

消化不良の原因になる

歯ぎしりによって噛み合わせの不具合や顎関節の痛みなどが起きると、咀嚼機能を低下させることになるため、その結果として消化不良を引き起こすリスクがあります。
必然的に食事に対して消極的になってしまうため、場合によっては大きな健康被害をもたらすきっかけになる可能性も捨てきれません。

 

睡眠中の歯ぎしりの治療法

歯ぎしりを悪化させるような原因になる喫煙や飲酒、カフェインの摂取などの要因が明確であれば、生活習慣を改善するような指導がされるケースも多いです。
生活習慣を見直しても歯ぎしりが改善しない場合は、抗てんかん薬の「クロナゼパム」を処方されることもありますが、一般的な治療法としては睡眠中に歯や下顎を保護するマウスピースを作成し、これを装着することによって治療を行うケースもあります。

 

まとめ:適切な治療で睡眠時の歯ぎしりを解消しよう

睡眠中の歯ぎしりは、さまざまな健康被害をもたらす可能性があります。
原因は人によって異なりますが、睡眠中に歯ぎしりをしていることがわかったら早めに歯科医院を受診して、適切な治療を開始するようにしましょう。

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投稿者: 西本歯科医院

2022.11.25更新

虫歯がある場合のホワイトニングについて解説

歯を白くするための「ホワイトニング」ですが、口腔内に何らかのトラブルがあるとスムーズにホワイトニングをスタートすることができません。
「虫歯」は口腔内トラブルの代表的な症状ですが、虫歯がある方の場合だとホワイトニングはできるのでしょうか?
そこで今回は、虫歯がある場合のホワイトニングについて解説します。

 

虫歯があるとホワイトニングできない?

結論から述べると、虫歯が発見された場合はホワイトニングの開始を中断し、先に虫歯の治療を優先することが多いです。
理由はいくつかありますが、最大の理由は以下の3つです。

 

ホワイトニング中に虫歯が進行してしまう

1つ目の理由は「虫歯の進行」です。
ホワイトニングを優先すると、ホワイトニングの間に虫歯が進行してしまう可能性が高いのです。
虫歯は進行すればするほど治療が難しく、健康な歯を維持することが難しくなってしまいますので、ホワイトニングよりも虫歯治療を優先するケースが多くなります。

 

ホワイトニングの薬剤がしみる可能性が高い

2つ目の理由は「薬剤がしみる」からです。
ホワイトニングに使用する薬剤は、通常の状態でもしみてしまう可能性があります。
加えて、虫歯がある状態だと余計にしみる可能性が高くなるのです。
しみる状態だと健常にホワイトニングを継続することが難しくなってしまいますので、虫歯がある状態でのホワイトニングはおすすめできません。

 

虫歯治療中の被せ物が剥がれてしまう可能性がある

3つ目の理由は「被せ物が剥がれてしまうから」です。
虫歯治療では、削った歯を補うために被せ物をします。
この被せ物ですが、ホワイトニングで使用する薬剤の影響で剥がれてしまう可能性が高いのです。
そのため、ホワイトニングと虫歯治療を並行で行うことはおすすめできません。

 

虫歯治療後のホワイトニング

虫歯治療後にホワイトニングをすると考えると、1つ注意するべきポイントがあります。
それは「虫歯治療の被せ物にはホワイトニングの効果がない」ということです。
虫歯治療では歯を削りますので、削った部分を補うために被せ物をします。
このとき、ホワイトニングの効果はこの被せ物に対して及ばないことを念頭に置く必要があるのです。
審美性を考慮してセラミックなどの白い素材を使用して虫歯治療を行うケースも多いでしょう。
しかし、人工物であるセラミック等にはホワイトニングの効果は及びません。
そのため、ホワイトニング前の状態で被せ物の色を決めてしまうと、ホワイトニング後には被せ物の部分だけ色が目立ってしまうため、ホワイトニングするにあたっては被せ物の色を考慮してホワイトニング治療を進める必要があるのです。

 

虫歯治療後におすすめのホワイトニング方法

最後に、虫歯を治療した後におすすめのホワイトニング方法について解説します。

 

ウォーキングブリーチ

「ウォーキングブリーチ」とは、ホワイトニングの薬剤を歯の内側に入れて、その歯を白くするという方法です。
虫歯の根管治療では、歯の神経の管を掃除した後に専用の薬剤を充填しますが、ウォーキングブリーチではその薬剤を抜いてその代わりにホワイトニング薬剤を入れます。
これにより、中に入れたホワイトニング剤が少しずつ歯の着色成分を分解し、変色した歯を少しずつに白くします。
歯の中に入れた薬剤は1~2週間ごとに交換して、数回の治療で歯が白くなったら元の薬剤に戻します。
メリットとしては、セラミッククラウンよりも安価で施術ができることと、通常のホワイトニングよりも強力な薬剤を使用するので変色の強い歯であっても白くできる可能性があることです。
デメリットとしては、歯に対してダメージが大きいため、虫歯治療で残った歯を大きく傷めてしまう可能性が高い点が挙げられます。

 

インターナルブリーチ

「インターナルブリーチ」とは、やること自体はウォーキングブリーチと同じですが、大きな違いとして医院内にいるときのみ漂白剤を入れるという特徴がある治療法です。
1回の施術だけで理想の白さになることはほぼありませんが、ウォーキングブリーチと同様に複数回通院することで理想の白さに近づけていくのが一般的な治療方針となります。
ウォーキングブリーチと比較して歯への負担が軽減できますが、ホワイトニング効果が比較的小さいのがデメリットです。

 

日ごろから虫歯予防をすることが重要

このように、虫歯があるとホワイトニングにも影響することがわかります。
虫歯治療後にホワイトニングすることも可能ではありますが、少なからず影響が残るため、できれば虫歯の影響なしでホワイトニングを利用したいところです。
虫歯予防で重要なことは「日ごろのデンタルケアを欠かさないこと」と「予防歯科を利用する」ことです。
特に日本では予防歯科の概念が重要視されていませんが、海外(特に北欧)では予防歯科の重要性が理解されています。
虫歯などのトラブルがなくても、歯の健康状態を確認するためには予防歯科を利用し、虫歯にならないようにすることが重要です。

 

まとめ:虫歯があるとホワイトニングに影響する

虫歯があると、ホワイトニングにも悪影響を及ぼします。
日ごろのデンタルケアと予防歯科を活用し、虫歯にならないようにすることが、ホワイトニングの利用において重要であることを理解しましょう。

投稿者: 西本歯科医院

2022.11.09更新

子供の矯正はいつから始めたらいいの?小児矯正について解説

お子さんの歯列矯正を考えるにあたって「いつから始めるのが良いのだろうか?」と悩む親御さんは少なくありません。
しかし、お子さんの歯列矯正はできるだけ速やかに決断しないと、適切なタイミングを失ってしまう可能性もあるのです。
そこで今回は、子どもの歯列矯正はいつから始めるべきなのかについて解説します。

 

「一期治療」と「二期治療」の違い

子どもの歯列矯正には「一期治療」と「二期治療」の2種類があります。

 

一期治療

「一期治療」は、あごの骨のバランスや大きさを整える治療が中心となります。
一期治療では上下の顎のバランスを改善する装置(ムーシールド、バイオネーター、フェイスマスクなど)を使用することで、上下の顎のバランスを正しい状態にする治療を行うのです。
顎が小さいことで歯の生えるスペースが不足しているケースでは、そのまま放っておくと叢生(八重歯などの乱ぐい歯)になってしまいますので、顎を拡大する装置(取り外し式のプレート装置)を使うことで永久歯がきれいに並ぶスペースを確保する治療方針を選択します。

 

二期治療

「二期治療」は、歯の位置を整える治療が中心となります。
一般的に歯列矯正や歯科矯正と呼ばれる治療がこれに該当し、器具を装着することで歯を動かし、歯並びを正常な状態に整えます。
一期治療で永久歯の誘導がうまく進んだ場合は、二期治療が不要になるケースもあります。

 

一期治療について

次に、一期治療の「適齢期」と「治療の目的」について解説します。

 

一期治療の適齢期

小児矯正の一期治療は、6~7歳までに開始するのが一般的となっています。
この年齢では、子どもの歯から大人の歯へ交換する時期であるため、歯並びの異常を治す上での適齢期となっているのです。
それ以降だと前歯の永久歯が良くない状態のまま動きが止まってしまうことや奥歯がぐらつき始める年齢になってくるので、矯正装置が安定しにくい場合もあります。
この年齢の頃で歯並びの凸凹やズレがある場合、まだ生えてきていない歯も顎の中で方向を変えてきて、悪化していくケースも多いです。
そのため、手早く治療を開始することをおすすめしますので、お子さんの歯並びが気になるという親御さんはぜひ小児歯科でお子さんの歯並びをチェックしてもらうことをおすすめします。

 

一期治療の目的

小児矯正における一期治療の主な目的は「顎骨の発育を正常に促す」ことです。
たとえば、上の顎の幅が狭くて将来的に乱ぐい歯となりそうなケースだと、拡大床などを用いた矯正治療を実施します。
この治療法により顎の骨が正常な幅まで拡大されるため、永久歯をきれいに並べるためのスペースを十分に確保できます。
つまり、小児矯正の一期治療では歯並びの乱れを細かく整えるような処置は実施せず、あくまでもしっかりとした土台を作るための治療が中心になるのです。

 

二期治療について

次に、小児歯科の歯列矯正の二期治療について解説します。

 

二期治療の適齢期

二期治療は、お子さんが12歳くらいから開始するのが一般的です。
この頃になるとお子さんは永久歯が生えそろい、顎の骨の発育もピークを超えています。そのため、歯並びの乱れを細かく整えるのに適した時期であるといえます。

 

二期治療の目的

二期治療では、お子さんの歯並びを細かく整えるのに適しています。
一期治療では顎の骨の成長に関する治療が中心でしたが、二期治療になると大人の歯列矯正と同様に歯を動かして歯並びを整える治療が中心です。

 

歯科医院で診てもらうのが一番

「ウチの子、歯並びが気になる」と思ったら、歯科医院で診てもらうのが最も適切な方法であるといえます。
歯科医院で診てもらうことによって「いつから歯列矯正を行うべきか」「そもそも歯列矯正が必要なのかどうか」を正確に把握することができます。
仮にお子さんの歯並びに異常を感じるとしても、本当に熾烈矯正が必要なレベルの歯並びであるかどうかを素人が判別することは難しいでしょう。
しかし、歯科医院であれば歯並びのプロの目線でお子さんの歯並びをチェックしてもらうことができます。
必要であればそのまま歯列矯正治療を開始することができますし、不要であれば歯科医師のお墨付きで歯並びの状態に安心することができるでしょう。

 

まとめ:お子さんの歯並びが気になるのであれば早めに歯科医院を受診しよう

お子さんの歯列矯正の適齢期は、素人では判別が難しいでしょう。
お子さんの歯列矯正の適切なタイミングを知るためには、歯科医院で歯並びのプロである歯科医師の診断を受けることが最善の方法となります。
もし、お子さんの歯並びが気になるというのであれば、早めに歯科医院を受診して、お子さんの歯並びについて診断を受けることをおすすめします。
そのうえで、必要であれば歯列矯正を開始して、お子さんの歯並びを正常な状態に整えてもらってください。

投稿者: 西本歯科医院

2022.10.26更新

生活習慣を改善して歯と体の健康を保ちましょう!

歯の健康を保つためには「歯磨きさえしていればいい」と思っていませんか?
実は「生活習慣」の中にも、歯の健康を維持するために重要なポイントがあるのです。
そこで今回は、歯の健康を保つための生活習慣について解説します。

 

歯の健康に良くない生活習慣

まずは「歯の健康に良くない」生活習慣について知っておきましょう。

 

糖分の多い食生活

「糖分」が多い食生活を送っていると、虫歯や歯周病のリスクを高めます。
糖分は歯の病気の原因となる菌の栄養になりやすく、バランスの良くない食生活は栄養バランスを壊してしまうので病気のリスクを高めてしまうのです。

 

喫煙の習慣

タバコを吸っている方は、虫歯や歯周病のリスクを高めてしまいます。
喫煙は血行を悪くしてしまうことにより、歯周病などのリスクを高めてしまうのです。

 

ストレスが溜まっている

日常的にストレスが溜まっている方は、虫歯や歯周病のリスクを高めてしまいます。
ストレスの蓄積は免疫力の低下を招いてしまいますので、菌の影響による虫歯や歯周病などのリスクも高まりますし、さまざまな病気のリスクも高まってしまうのです。

 

睡眠不足

日常的な睡眠不足は、歯の健康だけでなく身体全体の健康を損なうことになってしまいます。
睡眠不足は免疫力が低下してしまい、歯の病気だけでなく身体全体のさまざまな病気のリスクも高めることになってしまうのです。

 

運動不足

運動不足も、歯の健康を損なうことになってしまいます。
歯周病などの歯の病気は「メタボリックシンドローム」とも密接な関りがあり、運動不足によるメタボのリスクは歯周病など歯の健康にも少なからず影響するのです。

 

歯の健康を保つために重要な生活習慣

歯の健康を保つためには、日常生活においてさまざまな点で注意をする必要があります。

 

夜間の飲食を控える

夕食後、就寝までの間に飲食をすることは、虫歯や歯周病などの口腔疾患のリスクを高めることになります。
仮に歯磨きをしても、虫歯などのリスクはそれほど抑えられません。
就寝前の飲食はできるだけ控えて、どうしても飲食する必要がある場合には就寝前の歯磨きは欠かさないようにしてください。

 

固いものも食べる

「柔らかいものだけ食べる」という食生活は、唾液の分泌を阻害することになってしまうので虫歯や歯周病のリスクを高めることになってしまいます。
昨今は柔らかい食べ物が大量に流通していますが、柔らかいものばかり食べることは避けて、堅い食べ物も食生活に含めて唾液の分泌を損なわないように注意しましょう。

 

就寝は夕食から時間をあける

アルコールを飲んだからといって、すぐに虫歯や歯周病になるというわけではありませんが、アルコールには利尿作用があって体の水分を出してしまう作用があるので寝る前に飲む習慣があるとより一層リスクが高まります。
飲酒の習慣がある方はその点を十分に理解し、虫歯などのリスクを高めないような飲酒の仕方を心がけることをおすすめします。

 

飲酒の習慣には注意する

口呼吸はさまざまなリスクがありますので、呼吸については「鼻呼吸」を意識することが重要です。
日ごろから「鼻呼吸をする」ということを意識するだけでも、口呼吸の習慣から鼻呼吸へと切り替えることができるでしょう。
意識することのできない睡眠中については、鼻呼吸を促すグッズを利用することをおすすめします。
鼻呼吸は常に適度な温度や湿度が保たれているため、加湿器のような役割をして口呼吸ほど疾患などのリスクは高まりません。
現時点で鼻呼吸の習慣がついていない方は、鼻呼吸を続けることを意識して生活習慣を見直してみましょう。

 

口呼吸の習慣を改善する

「口呼吸」は、口腔内を呼吸で乾燥させてしまいますので、虫歯などのリスクを高めることになります。
普段は口呼吸をしていない方でも、鼻炎などで鼻呼吸が難しくなると口呼吸に切り替えてしまうこともあるでしょう。
そういったリスクを避けるため、鼻呼吸を阻害する病気などは早目に解消し、日常的に口呼吸をしてしまうことは避けてください。

 

歯ぎしり対策をする

「歯ぎしり」は、口腔内疾患のリスクを高めることになります。
とはいえ「歯ぎしりをやめる」ことは、意識してもなかなかやめることの難しいことでもあるのです。
歯科医院では、歯ぎしり対策としてマウスピースを作成することができますので、歯ぎしりの習慣がある方は早めに歯科医院に相談してマウスピース作成などの対策を講じてください。

 

適切な歯磨きを行う

当然なことではありますが、虫歯や歯周病対策として基本となるのは「歯磨き」というデンタルケアです。
しかし、正しく歯磨きしていないと、デンタルケアとして適正に機能しないケースも少なくありません。
歯科医院で定期健診を受けて、正しい歯磨きの方法を学んでください。

 

まとめ:歯の健康を守れるような生活態度を心がけよう

歯の健康は、歯に良い健康的な生活習慣を送ることが重要です。
生活習慣の中には歯にとって良くない行動もありますので、無意識に歯の健康を阻害してしまっている方も少なくありません。
歯にとって良い生活習慣とは何かを把握しておき、日常的に歯の健康を守れるようにしておくことをおすすめします。

投稿者: 西本歯科医院

2022.10.10更新

 注意!「口呼吸による歯への影響」マスク生活が続いて口が開きっぱなしになっていませんか?

虫歯や歯周病など、歯や口腔内のトラブルはさまざまな原因によって引き起こされています。
「マスク」という要因も、口呼吸という要因によって口腔内トラブルの原因になっている可能性があるのです。
そこで今回は、口呼吸が及ぼす口腔内トラブルについて解説します。

 

口呼吸の習慣が及ぼすデメリット

口呼吸の習慣を続けてしまうと、以下のようなデメリットをもたらすことになるでしょう。

 

風邪などの病気のリスクを高める

口呼吸の習慣は、風邪などの病気の原因となるウィルスを含んだ外気が喉の粘膜に直撃することになります。
口からウィルスが入り放題な状態になるため風邪をひきやすく、病気と闘うための免疫力も低下してしまいます。
必然的に病気全体に対する抵抗力が低下してしまいますので、病弱な生活を送らなければならなくなってしまうのです。

 

口臭や虫歯などの原因になりやすい

口呼吸の習慣は、「口臭」「虫歯」などの原因になりやすいです。
口呼吸の習慣は口腔内を乾燥させることにより、口臭や虫歯などの原因菌が繁殖しやすい環境を作り出してしまいます。
これらを防ぐための「唾液」は口呼吸の習慣によって出にくくなっており、菌が繁殖することによって口臭が悪化し、虫歯や歯周病などの口腔内トラブルのリスクを高めることになるのです。

 

質の良い睡眠を妨げる

口呼吸の習慣は、質の良い睡眠を妨げて体力の低下やストレスの蓄積などの原因になります。
「口を開けて寝る」ということは、舌が喉に落ちて気道を塞いでしまうため「睡眠時無呼吸症候群」などを引き起こす原因になる可能性があります。
また、喉を圧迫することで「いびき」をかきやすくしてしまいますし、質の良い睡眠がとれないと起きている間に集中力がなくなったりするでしょう。
質の良い睡眠は健康的な日常生活のために必要不可欠な要素であるため、口呼吸の習慣によってそれが奪われてしまうと健康的な生活を送れなくなってしまうのです。

 

歯並びに悪影響を及ぼす

口呼吸の習慣は「歯並び」にも悪影響を及ぼす可能性があります。
口呼吸をしていると常に口が開いた状態になっているので、舌を喉の奥に引き込む筋力を鍛えることができなくなっています。
歯が前歯を押してしまう状態になりやすいため、前歯が飛び出す形になったり、顎の成長に支障をきたすために歯並びが悪くなる可能性があるのです。
また、表情筋も鍛えることができなくなってしまうため、小じわが増えたり、目の周りや顎の下の筋肉もたるんで二重あごになったりなど、顔全体の印象も引き締まりがなく老け顔になってしまうリスクを高めます。

 

口呼吸になってしまう原因

人間が口呼吸になってしまう原因は、諸説あると言われています。
もともと人間は鼻呼吸であり、たとえば生まれたての赤ちゃんは授乳中は鼻で呼吸をしています。
言葉が出てくるようになると口で息を吸うようになりますし、風邪をひいたりして鼻がつまると口からも呼吸することになり、徐々に口呼吸の習慣が身についてき始めます。
昔と比べると離乳食開始時期が早まっており、「鼻呼吸が癖になる前に口呼吸を覚えてしまう」とも言われています。
また、日本では「おしゃぶり」を長く使うことは良くないと考える方も多く、1歳を過ぎた頃にはおしゃぶりを取り上げることも多いようですが、外国では3〜4歳までおしゃぶりしていても取り上げたりしないそうです。
これは、幼少期に十分おしゃぶりをさせることで鼻呼吸する癖をつけるためのようであり、日本式の場合だとその逆をしているため口呼吸の癖が強くなってしまうケースが多くみられます。
さらに、柔らかいものばかり食べていると噛む力が衰えてしまい、口周りの筋力も衰えることで口が開く状態になり、口呼吸の習慣がついてしまうこともあるのです。
その他にも、鼻のトラブルや歯並び、睡眠時の寝る姿勢の悪さや肥満などの要因からも、口呼吸になる原因だと考えられています。

 

鼻呼吸を意識しよう

口呼吸はさまざまなリスクがありますので、呼吸については「鼻呼吸」を意識することが重要です。
日ごろから「鼻呼吸をする」ということを意識するだけでも、口呼吸の習慣から鼻呼吸へと切り替えることができるでしょう。
意識することのできない睡眠中については、鼻呼吸を促すグッズを利用することをおすすめします。
鼻呼吸は常に適度な温度や湿度が保たれているため、加湿器のような役割をして口呼吸ほど疾患などのリスクは高まりません。
現時点で鼻呼吸の習慣がついていない方は、鼻呼吸を続けることを意識して生活習慣を見直してみましょう。

 

まとめ:口呼吸はさまざまなデメリットがある!鼻呼吸に切り替えて健康を取り戻そう

口呼吸は良いことがなく、鼻呼吸の習慣へと切り替えることでさまざまな健康上のメリットがやってきます。
意識するだけでも鼻呼吸の習慣に近づけることができるため、口呼吸のクセがついている方はぜひ鼻呼吸の習慣へと切り替えてみてください。

投稿者: 西本歯科医院

2022.09.26更新

 笑うと歯茎が目立つガミースマイルとは?原因や治療方法について解説!

通常、笑っても歯茎はそこまで目立つことはありませんが、それが目立ってしまう症状「ガミースマイル」に悩んでいる方は珍しくありません。
健康面での問題もありますし、ガミースマイルであることをコンプレックスに感じてしまう方も多いでしょう。
そこで今回は、ガミースマイルの原因や治療方法について解説します。

 

ガミースマイルとは?

「ガミースマイル」とは、口を開けてニッコリした際に、歯茎が露出してしまう状態のことです。
具体的には、笑ったときに歯ぐきの露出が3mm以上見える状態のことを指します。
ガミースマイル自体は歯や口腔内の症状の中では不健康や清潔ではないという印象を与えない症状であり、場合によってはチャームポイントとして捉えられることもあるのですが、本人にとっては恥ずかしい・コンプレックスに感じることも少なくありません。

 

ガミースマイルの原因

ガミースマイルになる原因は、大きく分けて4つ考えられます。

 

歯の長さが短いか生えている位置が低い

人によって、歯の長さや歯の生えている位置は異なります。
人によっては歯の長さが短い状態の方や、生えている位置が低い方もおられるのです。
歯の長さが短いと、相対的に歯茎の面積が大きく見えるため、歯茎が目立ちやすくなってガミースマイルの状態になってしまいます。
また、歯が低い位置から生えている場合についても、その分だけ歯茎が見える面積が増えてるため、結果としてガミースマイルの状態になってしまうのです。

 

上顎骨の発達が過剰である

上顎にある骨が長くて前に突き出していると、歯と歯茎が自然と前に出てきてしまいます。そうなると、笑った際に歯茎が露出しやすくなってしまい、ガミースマイルの状態になってしまうのです。
上顎骨の発達過剰は、ガミースマイルの要因として特に多いと考えられています。

 

上唇を持ち上げる力が強い

ニッコリと笑う際には、上唇を持ち上げることで表情を作っています。
この「上唇を持ち上げる」際に使う力の強弱には遺伝などの要因で個人差があり、これが強すぎる場合だと必要以上に上唇が持ち上がってしまい、上の歯の歯茎が見えるまで上唇が持ち上がってしますのです。
これは上唇を持ち上げる筋肉の筋力の問題であり、歯や周辺の骨格に問題が見られないケースも多くみられます。

 

遺伝

先ほども触れていますが、ガミースマイルになる要因には「遺伝」が関係している可能性も十分に考えられます。
ガミースマイルは歯や歯茎、骨格や筋肉などさまざまな要因が関係してくるため、親や祖父母がガミースマイルの場合だと、子どももガミースマイルになる可能性があると考えられているのです。
ただし、遺伝的要因は確実ではないため、親がガミースマイルでも子どもが絶対にガミースマイルになるとは限りません。
逆に、親とは別の要因によってガミースマイルになるというケースも珍しくはありません。

 

ガミースマイルを放置する健康上のリスク

ガミースマイルは、コンプレックスという問題もさることながら、実は健康上にもリスクを抱えている状態なのです。

 

虫歯や歯周病の原因になる可能性がある

上顎骨が前に出ていることによりガミースマイルになっている方は、噛み合わせや歯並びに問題を抱えている可能性があります。
そうなると、食べ物が挟まりやすくなってしまい、その部分には歯ブラシが届きにくいため歯垢が溜まりやすくなり、虫歯や歯周病などの口腔内トラブルのリスクが高まるのです。

 

口臭の原因にもなる

歯の向きが前方に突出していることによるガミースマイルの場合だと、通常よりも口を閉じにくくなっています。
そのため、口の中が乾燥しやすくなってしまい、それが原因で口臭悪化につながってしまう可能性が高いのです。

 

ガミースマイルの治療方法

上記のように、ガミースマイルを放置するとコンプレックスを抱えるだけでなく、口腔内トラブルの原因にもなりかねません。
そのため、積極的に治療してこれらの問題を解消することをおすすめします。

 

歯列矯正

歯並びが問題でガミースマイルになっている方に必要な治療法です。
さまざまな矯正方法がありますが、いずれも相応の治療期間になるため、しばらく器具の違和感に注意しながら生活しなければなりません。

 

歯冠長延長術

歯茎が見える面積を減らすために行われる治療方法です。
歯がもともと短い方や歯並びが悪い方、出っ歯に悩む人に対して推奨される治療法であり、歯と歯茎を削った後にセラミックの歯を入れます。

 

粘膜切除術

上唇の内側と歯茎を切除して縫合する手術です。
上唇の筋肉の力が強いことによりガミースマイルになっている方に適していますが、手術後に上唇を上げすぎてしまうと縫合部が開いてしまい、再手術となります。

 

上顎骨切り手術

上顎の骨を引っ込めて歯の出っ張りを抑える治療法です。
基本的には上の歯の4番目を抜歯してスペース作り、そのスペース分だけ前歯を引っ込めて歯茎を目立たなくさせます。
最大で7mmほど引っ込められる効果が期待できますが、個人差があるので注意が必要です。

 

ボトックス注射

前述の「粘膜切除術」と併用されることが多い治療法で、上唇の筋肉の動きを抑えることによって縫合部を守ることができます。
ボトックス注射自体の効果は約3~6ヵ月といわれており、これ単体の場合は定期的に注射してもらう必要があります。

 

まとめ:ガミースマイルは放置できない、適切な治療で解消しよう

ガミースマイルはコンプレックスの原因になるだけでなく、虫歯や歯周病などの原因になる可能性もあるため、放置することはおすすめできません。
それぞれの原因ごとに適した治療法が異なりますので、まずは歯科医院で相談して、治療方針を決定しましょう。

投稿者: 西本歯科医院

2022.09.09更新

 抜く?抜かない?親知らず抜歯の見極めポイントを解説します。

皆さんは「親知らず」が生えていますか?
親知らずは生えていない方も多いのですが、生えている場合は「抜かないといけない」というイメージをお持ちの方も少なくありません。
しかし、実際には親知らずを抜かない方が良いというケースもあるのです。
そこで今回は、親知らずを抜歯するべきかどうかを見極めるポイントについて解説します。

 

なぜ親知らずを抜く必要があるのか?

なんとなく「親知らず=抜かなければならない」というイメージをお持ちの方は少なくありませんが、そもそもなぜ親知らずは他の歯よりも積極的に抜歯するイメージが強いのでしょうか?
「歯を抜く」ということには、必ず何らかの意味・意図があるはずであり、親知らずの場合は以下のような理由で抜歯するケースが多いです。

 

虫歯などの病気の原因になる

親知らずは、虫歯や歯周病などの口腔内トラブルの原因になりやすいため、抜歯が推奨されることが多いです。
そもそも親知らずは異常な生え方(斜めに生えたり、埋没しているなど)をすることが多く、歯磨きも難しいため清潔な状態を保つことが難しいケースが多くみられます。
その結果、虫歯や歯周病などの原因になりやすく、しかも手前の歯にも病気が影響する可能性があるため、健康な歯と口腔内の健康を守るために親知らずを抜歯するのです。

 

歯並びが悪くなる

親知らずは、手前の歯を押し出して歯並びを悪くする可能性があるため、抜歯が推奨されることが多いです。
親知らずが生えるタイミングを考えると、すでに歯が生えるために十分なスペースがなくなっているケースも多くみられます。
それでも親知らずは生えてこようとするため、手前の歯を押し出してしまい、その影響で歯並びが悪くなってしまうのです。
歯列矯正が必要になると治療期間が長引いてしまうため、そうなる前に原因となり得る親知らずを抜歯するのです。

 

親知らずを抜かなくても良いケース

上記のように、何かと問題を抱えている親知らずは抜歯するケースが多いのですが、実は親知らずを抜歯しなくても良いケースも少なからず存在します。
先ほど「親知らずは異常な生え方をすることが多い」という話をしましたが、人によっては親知らずが普通の奥歯として問題なく生えているケースもあるのです。
問題なく生えている場合であれば、歯磨きによるケアも十分に可能であり、トラブルの原因になりにくいため、わざわざ抜歯する必要はないと判断されます。
また、完全に埋没している場合や、何らかの理由で親知らずを治療等に利用することを前提としている場合も、親知らずを抜歯せずに置いておく判断をするケースもあるのです。

 

親知らずは抜歯することでリスクもある

なんとなく「親知らず=抜いた方が良い」というイメージをお持ちの方は多いですが、実は親知らずは抜かないことだけでなく、抜く場合にもいくつかのリスクがあるのです。

 

合併症のリスク

親知らずは虫歯などの原因になりやすいですが、抜く場合でもいくつかの症状をもたらす可能性があります。

・痛みや腫れ
・出血
・周囲の歯の損傷、脱臼、詰め物や被せ物の脱離
・骨の亀裂や破折
・尖がった骨の一部が歯ぐきの外に露出する
・親知らずの一部残存
・細菌感染
・顎関節の脱臼
・歯の誤嚥や吸引
・上顎洞の交通(上顎洞に穴があき、口と鼻が交通する)
・皮下気腫
・感覚障害

必ずしも発症するというわけではありませんが、上記のような合併症のリスクがあることを念頭に置いて、親知らずを抜歯する必要があります。

 

将来的に利用できなくなってしまう

当然ですが、抜いた歯は二度と元には戻せません。
親知らずも抜いたらそれまでですが、残しておけばさまざまな利用法があります。

・ブリッジや入れ歯の支えとして親知らずを利用する
・他の歯を抜いた際に親知らずを移植する
・矯正治療で親知らずを噛み合わせに参加させる

親知らずを抜いてしまったら、上記のような治療法に親知らずを利用するという選択肢がなくなってしまいます。
そのため、上記のような治療を実施する予定がある場合だと、親知らずをあえて残して治療に利用するという選択肢を残すのです。

 

抜歯の是非は歯科医院で相談する

ここまで、親知らずを抜くべきか残すべきかの判断ポイントについて解説しましたが、歯科治療に関して素人である方が素人判断で親知らずの処遇を判断することは正しいとは言えません。
「残せばいつか利用できるから置いておこう」と思っていても、実は虫歯や歯周病のリスクが高い状態であったというケースは十分に考えられます。
親知らずを抜くべきかどうかを正しく判断できるのは、歯科治療のプロである歯科医院だけです。
親知らずが気になる方は歯科医院で相談して、治療の是非を確認することをおすすめします。

 

まとめ:親知らずは必ずしも抜く必要はないが、歯科医院に相談するのがベスト

親知らずは抜かないほうが良いと判断される場合もありますが、トラブルの原因になるような状態の親知らずである可能性もあります。
歯科医院で相談し、親知らずの処遇をどうするべきかをきちんと判断してもらい、必要に応じて適切な治療を受けてください。

投稿者: 西本歯科医院

2022.08.23更新

歯科矯正はさまざまな良くない歯並びの症例を改善できますが、中には「特定の矯正方法を選択できない症例」もあります。
とくに「部分矯正」の場合だと、いくつかの症例においてはこの矯正方法を選択できない可能性があるのです。
そこで今回は、部分矯正できない症例と、その場合の対処法について解説します。

 

部分矯正ができない症例

部分矯正にはさまざまなメリットがあり、それゆえに「部分矯正で治したい」と希望する方も少なくありません。
しかし、部分矯正は全体矯正と比較して「適用できる症例が限られている」という特徴があり、一般的に以下のような症例だと部分矯正では歯並びの問題を解消できない可能性が高いのです。

 

上下のかみ合わせに問題があり、それを治したい場合

もし、歯並びの状態が「上下のかみ合わせに問題がある」という場合で、それを治したい場合であれば部分矯正だけでは歯並びの問題を解消することは難しいでしょう。
通常、歯並びの問題は上下それぞれの歯並びを同時に解消することではじめて解決できる問題です。
そのため、一部分の歯並びの問題だけを解消しただけでは、噛み合わせのトラブルを解決することはできません。
もちろん「見た目だけ治したい」というのであれば、部分矯正だけでも解決できる問題は少なくないでしょう。
しかし「噛み合わせの問題を解決したい」というニーズであれば、部分矯正だけでは解消できない可能性が高いので、担当医から部分矯正を勧められることは少ないはずです。

 

歯を動かすスペースに余裕がない場合

歯科矯正を検討するにあたって「歯を動かすスペースに余裕がない場合」だと、部分矯正では歯並びの問題を解消できない可能性が高いです。
歯科矯正は「歯を動かす」ことが基本となりますが、そのために「歯を動かすための十分なスペースが必要になる」という制約があります。
歯並びを鑑みて、動かしたい歯を動かすのに十分なスペースを確保できないような歯並びの場合だと、そのスペースの確保のために他の歯も動かさなければならなくなり、部分矯正だけでは歯並びの問題を解消できない可能性もあります。

 

歯並びの問題が重度のケースの場合

もし、問題のある歯並びの悪さが重度の問題である場合には、部分矯正だけではその問題を解消できない可能性があります。
前述のとおり、歯を動かすためには相応のスペースの確保が必要であり、歯並びの問題が重度のケースだと部分矯正だけでは十分に歯を動かせないケースもあります。

 

部分矯正だけでは歯並びの問題を解消できない場合の対策

部分矯正だけでは歯並びの問題を十分に解消できないのであれば、以下のような対策を講じることになるでしょう。

 

全体矯正

部分矯正だけでは歯並びの問題を解決できない場合には「全体矯正」を行う必要があるケースも少なくありません。
部分矯正は一部分の歯並びだけを矯正するため、歯並び全体を解消するような治療法にはならないケースが多いです。
そのため、かみ合わせに問題があるような噛み合わせの場合、部分矯正だけではその問題を解決することができず、担当医から全体矯正をおすすめされるケースが多くなります。

 

手術

部分矯正だけでは歯並びの問題を解消できない場合には「手術」を必要とするケースもあります。
歯並びの問題は「顎の骨」が関係しているケースもあり、部分矯正や全体矯正だけでは歯並びの問題を解消できない場合もあります。
その場合はあごの骨に対して何らかのアプローチをしなければならないケースもあるため、部分矯正だけでは歯並びの問題を解消できない場合もあるのです。

 

担当医としっかり相談して治療方針を決めることが重要

部分矯正で歯並びの問題を解消できるかどうかは、担当医の歯科医と入念に相談して決めることをおすすめします。
「部分矯正で問題を解消できるかどうか」については、患者さんの歯並びの状態、要するに症例次第でその是非が異なります。
実際に「部分矯正_症例」でネット検索すると、さまざまな症例を目にすることになります。
しかし、専門家である歯科医師が検診してみないと、部分矯正で治せるかどうか判断することは簡単なことではありません。
逆に言えば、歯科医師に歯並びの状態を見てもらえば、部分矯正でトラブルを解消できるかどうかを判断できるということです。
部分矯正か他の治療法を選択するかを決めるかにおいては、担当医としっかり相談したうえで、納得できる内容で決断することをおすすめします。

 

まとめ:部分矯正の是非は担当医としっかり相談して決めること

歯並びの症例によっては、部分矯正だけでは十分に歯並びの問題を解決できないケースも珍しくありません。
歯並びの問題は身体上の問題だけでなく、見た目から来るコンプレックスの問題もあります。
心身の問題にかかわってきますので、しっかりと歯並びの問題を解決できるように、担当医としっかり相談して、現状の問題をきちんと解決できる治療法を選択することをおすすめします。

投稿者: 西本歯科医院

2022.08.05更新

下の歯の部分矯正はできる?部分矯正の方法を解説

「部分矯正」という歯科矯正の治療法は、歯並びの一部分だけを改善する治療法で、治療期間の短さや費用の安さなどでこの矯正方法を選択される方も少なくありません。
では「下の歯」を部分矯正することは可能なのでしょうか?
そこで今回は、下の歯を部分矯正できるかどうかについて解説します。

 

そもそも「部分矯正」とは?

「部分矯正」とは、歯並びや噛み合わせ全体ではなく問題がある一部分だけを治療するという矯正方法です。
ブラケット(ワイヤー)矯正やマウスピース矯正、インプラントを使用した矯正などさまざまな治療法があります。
全体矯正と比較すると費用が安く抑えられ、治療期間も短めになるケースが多いため、気軽に歯科矯正を利用できる方法として多くの方が利用しています。

 

下の歯だけ部分矯正することは可能?

結論を述べると、「下のはだけを部分矯正する」ことは、症状次第ではありますが十分に可能な範囲のことではあります。
実際に「下の歯だけ_部分矯正」で検索してみると、さまざまな治療事例が掲載されていることがわかります。
ただし、あらゆるケースにおいて下の歯だけを部分矯正できる、部分矯正が最適な選択肢になるというわけではありませんので、担当医としっかり相談したうえで、下の歯だけを部分矯正するのが本当に良いことなのかどうかを検討してください。

 

下の歯だけを部分矯正することのメリット

下の歯だけを部分矯正することには、以下のようなメリットがあります。

 

矯正治療中でも目立たない

下の歯だけの部分矯正は「矯正治療中でもそれが目立たない」というメリットがあります。
一般的に、人の歯は笑っている状態でも上の歯しか見えないことが多いです。
そのため、下の歯を表側矯正(歯の表側・口の外側に治療器具を装着する治療方法)する場合でも、装着している治療器具が目立ちにくいというメリットがあります。
治療中の見た目を気にする方でも、下の歯の部分矯正であれば問題なく治療を続けられるでしょう。

 

費用を安く抑えられる

下の歯だけを部分矯正する場合「全体矯正と比較して治療費を安く抑えられる可能性が高い」というメリットがあります。
全体矯正の場合、症状次第ではありますが一般的に1年以上の治療期間を必要とするケースが多いです。
一方で部分矯正の場合は数か月~1年程度で矯正治療が完了するケースが多くみられます。
必要な器具も少なく、治療期間も短めですむケースの多い部分矯正は、その分だけ治療費も安く抑えられるのです。

 

下の歯だけを部分矯正することのデメリット

下の歯だけを部分矯正することには上記のようなメリットがある一方で、以下のようなデメリットも存在することを理解して治療を開始する必要があります。

 

改善できるのは「見た目」だけ

下の歯だけの部分矯正は「見た目だけしか改善できない」というデメリットがあります。
部分矯正は見た目の問題がある一部分の歯並びだけを改善できます。
一方で、全体的なかみ合わせを改善することはできないため、下の歯の部分矯正では歯並びの見た目だけ改善して、上下のかみ合わせまで同時に改善することはできません。
上下のかみ合わせをしっかりと矯正するためには、全体矯正を利用する必要があります。
そのため、「とにかく下の歯の見た目だけを改善したい」という場合のみ、下の歯の部分矯正は適している治療法であるといえます。

 

適用できない症例も多い

下の歯だけの部分矯正は、「部分矯正を適用できない症例も数多く存在する」というデメリットがあります。
前述のとおり、部分矯正は全体のかみ合わせの改善には適していないため、部分矯正だけではトラブルを改善できない症例も少なくありません。
部分矯正にはメリットもありますが、部分矯正のデメリットがメリットを薄れさせるのであれば、全体矯正などの治療法を選択しなければなりません。

 

下の歯だけ部分矯正できるかどうか?

下の歯だけを部分矯正できるかについては、カウンセリングを受けた歯科医院の担当医としっかりと相談して、最終的に部分矯正で治療を開始するかどうかを決定してください。
部分矯正が適用できるかどうかは、各人の歯並びの状況によって異なり、これを言葉で言い表すことは簡単なことではありません。
そのため、担当医が実際に患者さんの歯並びの状態を確認し、部分矯正が適用できるかどうかを判断するのが一番です。
そのうえで、カウンセリングなどの話し合いの際に部分矯正の是非を話し合い、メリット・デメリットを総合的に判断して部分矯正を開始するかどうかを決定してください。

 

まとめ:下の歯だけの部分矯正は可能、実際の是非については担当医と相談する

下の歯だけを部分矯正することは理論上は可能ですが、部分矯正だけで歯並びの問題をすべて解決できるかどうかはわかりません。
担当医としっかりと相談し、部分矯正で十分に患者さんの歯並びの問題を解消できるかどうかを判断し、治療の方針を決定してください。

投稿者: 西本歯科医院

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