2021.03.25更新

マウスピース矯正は、歯を抜かないでできると聞いたことはありませんか?誤解されることが多いのですが、マウスピース矯正は歯を抜かない矯正方法ではありません。症例によって抜歯をした方がメリットがある場合があります。

しかし、「健康な歯を抜きたくない」と思う方も多いはず。そこで、マウスピース矯正の際に抜歯なしで矯正する方法について解説します。

 

目標の設定を変えることで抜歯なしのマウスピース矯正はできる

歯科医師は診査・診断の結果をもとに検討し、歯並びの目標を決めて治療を行います。その目標のために歯を抜いた方が最善であると診断した場合、抜歯をした方が良いという提案をします。

患者さんは歯科医師からの提案をもとに、矯正の目標を決めます。非抜歯を希望される場合、目標の設定を変えることで抜歯なしの矯正ができる可能性があります。

しかし、その目標が納得できるものであるか、十分に歯科医師と相談してから矯正をはじめることが非常に大切です。

 

矯正前にシミュレーションで治療後の歯並びを確認

歯科医院によって異なりますが、矯正後の歯並びをシミュレーションできます。抜歯した場合、非抜歯の場合と比べることができます。
歯を抜きたくない場合は治療前にシミュレーションを行い、最終段階の歯並びの違いを確認しましょう。

 

マウスピース矯正では抜歯を伴う治療は適していない

抜歯を必要とする矯正ではマウスピース矯正よりも、ワイヤー矯正を勧められます。ワイヤー矯正は歯を動かす力が強いため、空いたスペースを埋めることを得意としています。マウスピース矯正は歯を動かす距離が少ない方が円滑に矯正できます。

しかし、抜歯をしたからワイヤー矯正というわけではありません。マウスピース矯正は進歩し続けており、抜歯が必要でもマウスピース矯正は可能になりました。歯科医師によって考え方は異なりますが、ワイヤー矯正と併用したり、時間をかけてマウスピースだけで矯正を行う場合があります。

 

スペースが足りない場合は奥の歯を後ろに移動する

歯の大きさに対して顎が小さいなど、歯が収まりきれていない場合、でこぼこした歯並びになります。このような場合は抜歯をして、歯を並べるためのスペースを確保します。歯を抜かないで矯正する際、以下の方法でスペースを確保します。

 

○奥の歯を後ろへ移動させる

マウスピース矯正では奥の歯を後ろに移動させる方法があり、矯正治療に必要なスペースを確保できます。

 

○歯の側面をやすりで削って幅を縮小する

ディスキングといわれる方法で、歯の側面をやすりで削る方法です。歯の幅を縮小することで必要なスペースを確保できます。

 

抜歯をすることが悪いことではない

必ずしも抜歯をすることが悪いことではありません。抜歯を必要とするケースがあり、その場合は歯を抜いた方がきれいに並べられる、噛み合わせのバランスが改善できるなどメリットがあります。
抜歯が必要なケースで非抜歯矯正を行うと以下のようなデメリットがあります。

 

○奥歯が揃わなくなり噛み合わせに支障がでる

歯を並べるスペースの確保ができないため、奥歯が揃わず噛み合わせに支障をきたしてしまいます。

 

○前歯が押されて前にでてしまう

歯を並べるスペースが確保できないために、前歯が押し出され、前にでてきてしまうことがあります。

 

○歯肉が下がってしまう

抜歯をせず並べようとすると、本来の位置よりも外側にずれて、歯肉が下がってしまいます。

 

矯正治療の目的は噛み合わせと歯並びの改善

矯正治療は見た目を改善するほかに、噛み合わせを改善するなど重要な目的があります。矯正の治療目的は以下の4つです。

○噛み合わせを改善し、食べものをしっかり噛めるようにする

矯正の本来の目的は噛み合わせの改善です。上下の歯が正常に噛み合うことで、食べる、話す、呼吸といった口の本来の機能を改善します。

 

○歯並びの改善によって見た目をよくする

ほとんどの方が見た目を気にして矯正治療を希望されます。歯並びを改善すると見た目のコンプレックスがなくなります。最近では身だしなみとして就職活動前に矯正治療を希望される方も増えてきました。

 

○歯並びが改善されることによって歯の負担を減らす

噛み合わせが悪いと一部の歯に負担がかかってしまいます。負担がかかってしまった歯はすり減ったり、割れてしまうなどのリスクが高くなります。
上下の噛み合わせが整うと、歯にかかる力が分散され、歯の負担を減らすことが出来ます。

 

○歯ブラシが届きやすくなり、虫歯や歯周病のリスクを減らせる

でこぼこした歯は歯ブラシが届きにくく、虫歯や歯周病のリスクが高まります。歯並びを良くすることによって歯ブラシが届きやすくなり、虫歯や歯周病のリスクを軽減できます。

 

まとめ

抜歯をしたくないからといって安易に非抜歯で矯正を行うと、思いもよらない問題が起こる可能性があります。抜歯が必要と提案された場合、なぜ抜歯が必要なのか、抜歯をしないで矯正をするとどうなるのかを理解したうえで矯正方法を選択します。

矯正治療を行う際はどのような歯になりたいかを明確にし、歯科医師に伝えることが非常に大切です。診査・診断の結果を参考に歯科医師とよく相談した上で矯正治療をはじめましょう。

投稿者: 西本歯科医院