マウスピース矯正は、ほかの矯正方法と比べて虫歯になりやすいのでしょうか?
マウスピース矯正の虫歯リスクや、矯正中に虫歯にならないための方法、虫歯の治療時期などについてご紹介いたします。
歯列矯正中は虫歯になりやすい
矯正期間中は、歯に装置を装着するため汚れが溜まりやすくなり、歯磨きがしにくくなります。そのため虫歯になりやすいです。
矯正方法により、虫歯リスクの差があります。
○ワイヤー矯正の虫歯リスク
ワイヤー矯正は、歯にブラケットという装置を接着し、ワイヤーを通すことによって歯を動かします。ご自分で装置を取り外すことはできず、食事をする時も、歯磨きをする時も常に矯正装置を装着している状態となります。
そのため、食べたものが挟まったり、歯垢が溜まったりしやすく、歯磨きもしにくいです。虫歯や歯周病のリスクは高く、きちんとセルフケアをしていないと虫歯だらけになってしまうケースもあります。
○裏側ワイヤー矯正の虫歯リスク
歯の裏側に、ブラケットとワイヤーを装着する矯正方法です。通常のワイヤー矯正と同じように、ご自身で装置を取り外すことはできません。
裏側に装置がついているため歯磨きがしにくく、虫歯になるリスクがあります。
ただ、歯の表側よりも裏側のエナメル質のほうが厚いですし、常に唾液に触れていて自浄作用が期待できますので、表側矯正に比べれば虫歯になるリスクが低いです。
○マウスピース矯正は虫歯になりにくい
マウスピース(アライナー)という透明の装置を歯に装着し、1~2週間ごとに新しいものに交換することによって歯を正しい位置に動かしていく矯正方法です。
ご自身で矯正装置を取り外して歯磨きをすることができます。そのため正しくケアを行いっていれば、比較的虫歯になるリスクが低い矯正方法です。
ただ、歯の表面にアタッチメントという装置を接着している場合は、その周辺に汚れが付着しやすく虫歯のリスクが高くなります。丁寧に歯磨きを行いましょう。
虫歯治療を行うタイミング
虫歯ができてしまった場合は、どのタイミングで治療を行うとよいのでしょうか?
○矯正治療開始前に虫歯治療
矯正治療を始める前に虫歯を発見した場合は、先に虫歯治療を行います。
矯正期間は1~3年ほどかかるので、その間に虫歯が進行してしまうからです。
ただ、矯正を行うと歯並びやかみ合わせが変化するため、状況に応じて応急処置を行って仮歯や保険の被せ物を入れ、セラミックなどの高価な被せ物は矯正治療終了後に制作することもあります。
○矯正治療中に虫歯ができてしまった場合
矯正期間中でもマウスピース矯正なら取り外しができますので、すぐに治療をすることができます。
ただ大きな虫歯の場合は、治療によって歯の大きさや形が変わりマウスピースが装着できなくなることがあります。
特に「インビザライン」などの、治療開始時に全てのマウスピースを作成するタイプは、歯の形が変わるとその後のマウスピースがすべて装着できなくなる可能性があるため注意が必要です。
治療期間中に何度も歯型を取りその都度マウスピースを制作する「アソアライナー」のようなタイプでしたら、虫歯治療を行っても問題ないでしょう。
○矯正治療完了後
矯正期間中にできなかった虫歯治療を行います。
マウスピース矯正中に虫歯にならないためには?
虫歯にならないためには、どんなことに注意したらよいのでしょうか。
○マウスピースを装着したまま飲食しない
マウスピースをつけたまま食事をすると、歯とマウスピースの間に食べ物が入り込みやすく、虫歯になりやすいです。必ずマウスピースを外してから、飲食をするようにしましょう。
お水はマウスピースをつけた状態で飲んでもかまいませんが、その他の飲み物は外して飲んだほうが良いです。特に糖分の多い飲み物をそのまま飲むと、マウスピースと歯の間に長時間停滞して虫歯になりやすくなります。
マウスピースを装着したまま飲み物を飲みたい時は、なるべく糖分の入っていない飲み物を選んだり、ストローを使って飲んだりするようにしましょう。
○歯磨きをしっかり行う
飲食後に歯磨きを行わずマウスピースを装着してしまうと、マウスピースと歯の間に糖類や酸などが長時間停滞することになるため、虫歯になりやすいです。マウスピースを装着すると唾液の自浄作用は期待できませんから、必ず歯磨きを行ってから装着しなければなりません。
外出先などでどうしても歯磨きができない場合は、食後にお水を飲んだりうがいをしたりしましょう。
○マウスピースの清掃をしっかり行う
汚れたマウスピースを長時間装着していると、虫歯になりやすくなるためマウスピースの清掃も大切です。
マウスピースを取り外したら、こまめにお水で洗いましょう。マウスピースに傷がつかないように、やさしく洗うようにしてください。市販の洗浄剤も有効です。
○気になることがあれば早めに歯科医に相談
虫歯ができてしまったとしても、初期虫歯でしたら簡単な処置ですむことが多いです。歯が痛い、虫歯がある気がするなど気になることがあれば、早めにかかりつけの歯科医院で相談してみましょう。
まとめ
マウスピース矯正は、ご自身で取り外していつものように歯磨きができるため、比較的虫歯になりにくい矯正方法だといえます。
しかし、きちんとセルフケアをしなければ虫歯になってしまう可能性はあります。
虫歯にならないようにしっかりとケアし、美しい口元を手に入れましょう。