2023.08.25更新

歯の矯正治療においては、必要に応じて「抜歯」を行う場合があります。
自分の歯を抜くというのは抵抗を感じる方も多いでしょうが、そもそも矯正治療において抜歯を行う必要性の判断はどこにあるのでしょうか。
そこで今回は、矯正治療の抜歯と非抜歯についての考え方と、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。

 

抜歯・非抜歯の判断基準

歯科矯正においては、抜歯を行うケースと、抜歯を行わないケースがあります。
その判断は歯科医師がするわけですが、歯を抜くかどうかの判断基準の基本的な考え方は「必要性の有無」にあるのです。
歯科矯正では、現存している歯を少しずつ動かして、歯並びの見た目やかみ合わせを改善します。
この「歯を動かす」という治療方針において、歯が動くためのスペースが不十分な症例も少なくありません。
では、足りないスペースをどのように確保するのかというと、その代表的な手段が抜歯になるのです。
抜歯することで歯1本分のスペースを作り出すことができるので、そのスペースを利用することで残りの歯を動かし、きれいな歯並びやかみ合わせを実現することができます。
ただし、もともと空きっ歯である場合のように、抜歯しなくても矯正治療の方針に差し支えない場合であれば、わざわざ健康的な歯を抜いてしまう必要はありません。
このように、治療開始時点での歯並びの状態は患者さんごとに大きく異なりますので、歯科矯正を始めるにあたって抜歯を必要とするかどうかは患者さんごとに異なります。

 

抜歯を伴う歯科矯正のメリット・デメリット

次に、抜歯をせずに歯科矯正を行う場合のメリットとデメリットについて解説します。

 

抜歯のメリット

抜歯を行う歯科矯正の最大のメリットは「治療の自由度が高まる」ということです。
抜歯を行うことで歯を動かすためのスペースを十分に確保することができますので、さまざまな症例において歯並びの問題を解消することができるようになります。
たとえば、出っ歯の患者さんの場合だと、突き出ている部分を奥側に引っ込めさせるためには、その分だけのスペースが必要です。
奥歯を奥に押し込んでスペースを確保するという治療方針もなくはありませんが、矯正完了までに時間がかかる可能性がありますし、動かした歯が元に戻る「後戻り」のリスクも付きまといます。
抜歯をすることで簡単にスペースを確保できますし、後戻りのリスクも抑えられるのです。
また、かみ合わせの問題で抜歯を行う場合もあります。
抜歯を行うことでかみ合わせの問題を改善しやすくなる症例も多いので、見た目だけでなく機能面でも歯並びの問題を解消することができます。

 

抜歯のデメリット

抜歯を行う歯科矯正の最大のデメリットは「抜歯後に痛みと腫れを伴う」ことです。
歯を抜くにあたっては当然ですが麻酔をすることで、施術中に痛みを感じる心配はありません。
しかし、麻酔が切れた後は個人差もありますが、2~3日ほど患部に痛みと腫れの症状を伴う可能性が高いのです。
傷みの感じ方は人それぞれですが、少なからず不快感を感じることになるでしょう。
なお、抜歯にあたっては歯科医院において痛み止めを処方してもらえるはずなので、痛みが激しいときには痛み止めで対応してください。
また、頬を冷やすことも効果的です。

 

抜歯をしない歯科矯正のメリット・デメリット

次に、抜歯をせずに歯科矯正を行う場合のメリットとデメリットについて解説します。

 

非抜歯のメリット

非抜歯による歯科矯正の最大のメリットは「健康な歯を残せる」ことです。
治療方針により抜歯を必要とすることを頭では理解できていても、健康な歯を抜いてしまうということには精神的な影響を受けてしまうケースも少なくありません。
虫歯などの問題があれば別でしょうが、健康上問題のない歯を抜いてしまうことには、やはり抵抗を感じる患者さんも多いのです。
非抜歯で矯正できるのであれば、やはり歯を抜かずに矯正治療を始めたいと考えるのが普通でしょう。
また、抜歯に伴う治療期間や治療費がかからないことや、痛みなどの症状に悩まされないという点も大きなメリットです。

 

非抜歯のデメリット

非抜歯による歯科矯正の最大のデメリットは「出っ歯になるリスクがある」ことです。
非抜歯ということは十分なスペースを確保しないまま歯を動かしていくという治療方針になります。
そうなると、動いた歯が前歯を押し出してしまって口元が前突し、出っ歯になってしまう可能性があるのです。
また、歯を抜かない代わりにスペース確保のために歯を削る場合もあります。
さらに、スペースを確保していないため後戻りのリスクが高まり、治療期間が長引いてしまう可能性もあるのです。
他にも、無理に歯を動かすことによって歯肉にダメージを与える可能性もあるなど、非抜歯にはデメリットも多く存在します。

 

まとめ:メリット・デメリットを理解して抜歯の是非を判断しよう

基本的な判断は歯科医師が伝えるものですが、最終的な判断は患者さんであるあなた自身が行います。
最近では非抜歯で歯科矯正を始められる歯科医院も増えてきましたが、非抜歯にもデメリットがあることを理解して治療を開始しなければなりません。
歯を抜くことが良いことなのかどうかは判断が分かれるところではありますが、双方のメリット・デメリットをきちんと理解して、抜歯するかどうかの判断基準としてください。

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投稿者: 西本歯科医院