歯並びを良くしたい場合、審美歯科か矯正歯科で歯並びの改善ができます。審美歯科と矯正歯科では治療方法や治療期間が全く異なります。審美歯科と矯正歯科の違いを解説します。
審美歯科と矯正歯科では治療の目的が違う
審美歯科は「短期間で見た目を重視しながら、噛む機能を改善する」方法に対し、矯正歯科は「根本的な原因を改善しながら、正しい歯並びと噛み合わせにする」と治療の目的が違います。
○審美歯科は見た目を重視しながら、噛む機能を改善する
歯の色や形など見た目を重視しながら、噛む機能を改善する治療方法です。審美歯科の治療の領域はホワイトニングも含まれています。
審美歯科の矯正方法は歯を削ったり、抜いたりしてセラミックなどの詰め物や被せ物する方法です。短期間で見た目の改善ができます。しかし、審美歯科は歯科医師によって考え方が異なります。審美歯科を掲げていても、全ての審美治療に対応しているとは限りません。
なかには審美歯科の本来の意味とは違い、見た目を整える目的だけで治療を行う歯科医院もあり、治療後に歯肉が腫れたり、下がってしまうなど問題が起こってしまう方も少なくありません。
○矯正歯科は根本的な原因を改善し歯並び、噛み合わせを矯正する
矯正歯科ではワイヤー矯正やマウスピース矯正など矯正装置を使用し、歯並びや噛み合わせを改善する治療方法です。
矯正治療は歯並びが改善されることはもちろん、噛み合わせが改善され、食べ物がよく噛めるメリットがあります。また、歯並びが整うことで歯ブラシが届きやすくなり、虫歯や歯周病になるのを防ぎます。顔立ちがはっきりし、発音がよくなるなど、さまざまなメリットがあります。
矯正治療は歯並びが悪くなっている原因を根本的に改善するため、長い時間が必要です。
審美歯科と矯正歯科の費用の違い
審美歯科も矯正歯科も保険が適応されない自由診療となります。審美歯科では1本あたりで価格が決められており、被せ物の種類によって金額が異なります。
矯正治療では300,000~1,500,000円ほどかかります。その他にも診査診断料、調整料、リテーナー料金が必要になる場合があります。
審美歯科の例では、上下の前歯の犬歯から犬歯まで審美治療を希望し、被せ物で歯並びを整えた場合、1本あたり50,000~100,000円が必要です。合計600,000~1,200,000円ほどかかります。
審美歯科に比べると矯正歯科の方が高くなることが多いですが、治療する本数によっては審美歯科の方が高くなります。
審美歯科と矯正歯科の選び方は目的を明確にする
歯並びの改善を希望した場合「自分の歯をどうしたいのか」目的を明確にする必要があります。審美歯科と矯正歯科では根本的に治療方法が異なります。どちらもメリット、デメリットがあり受診するべきは審美歯科か矯正歯科か、目的を明確に持つことが大切です。
○短期間で歯並び、見た目の改善をしたい
短期間で歯並びや見た目を重視する場合、選択肢は審美歯科になるでしょう。例えば、前歯だけ色や歯並びを改善したい場合、削って白い被せ物をして見た目を改善します。
メリットは短期間で治療が可能で、目安の期間は1週間~3ヶ月です。セラミックなどを使用するため、見た目を白く、希望の形にすることが可能です。
デメリットは被せ物は一生ものではないので、いずれ被せ物のやりかえが必要になります。健康な歯を削ったり、抜いたりするので治療を行う際、十分に理解しておきましょう。
○天然の歯で歯並び、噛み合わせを改善したい
天然の歯を削らずに歯並び、噛み合わせの改善をしたい場合、選択肢は矯正歯科になるでしょう。
メリットは天然の歯を守りながら、歯並びと噛み合わせの改善をします。マウスピース矯正や裏側矯正では目立たずに矯正ができます。
デメリットは矯正治療は2~3年と長い時間がかかります。症例によって歯を抜く必要があります。
基本は歯科矯正治療をした後に審美歯科治療をする
被せ物のやりかえと同時に歯並びの改善を目的とした場合、歯科矯正治療をした後に審美歯科で被せ物のやりかえが基本です。
歯の並び方によって審美歯科では治療が困難なケースがあります。歯の根っこの位置が揃っていない状態で無理に削って治療をしても、きれいに並べられなかったり、歯肉の位置が合わなかったりなど問題が生じやすくなります。
しかし、健康な歯を削ってでも、短期間で並べたいと考える方も少なくありません。理解しておきたいことは、「天然の歯に勝るものはない」ということです。後悔しないためにも精査してから審美歯科か矯正歯科を選ぶようにしましょう。
まとめ
審美歯科と矯正歯科では目的が違い、それぞれメリットとデメリットがあります。
治療方法を理解せずに始めてしまうと「こんなはずじゃなかった」と後悔をしてしまいます。一度削った歯は元には戻らないので、治療方法を理解しておくことが大切です。
歯並びや見た目が気になるなど、お悩みがあれば歯科医師に相談してみてください。