2020.06.10更新

さまざまな歯列矯正方法の中でも、短期間で歯並びがキレイになると人気なのが「セラミック矯正」です。一般的な矯正方法では治療期間が2~3年かかるのに対し、セラミック矯正ではすぐにキレイな歯を手に入れることができます。

メリットの多い矯正方法なので、興味を持っている方が多いかと思います。しかし、セラミック矯正は危険だと言われているのはご存じでしょうか?

今回は、セラミック矯正の危険性について、そして治療を受ける際の注意点について詳しく解説していきます。セラミック矯正後に後悔しないよう、ぜひ確認してみてください。

 

セラミック矯正のメリット・デメリット(他の歯列矯正と比較)

歯列矯正は、悪い歯並びや、上下の歯がかみ合わない状態を改善する治療方法です。

○セラミック矯正とは

セラミック(陶器)の被せ物を、歯に被せることにより歯並びをキレイに見せる治療方法です。厳密には歯列矯正ではなく、審美治療だと言われることもあります。

・メリット
短期間で治療が終わる(最短で2週間ほど)
見た目が美しい(セラミックは、天然歯のような透明感と色調を再現できる)

・デメリット
歯を削る必要がある(神経を抜くこともある)
上下の歯がしっかりかみ合わないことがある(根本的なかみ合わせを治す矯正方法ではない)

○ワイヤー矯正とは 歯に「ブラケット」という器具を装着し、ワイヤーで引っ張って歯を動かす矯正方法です。「表側(唇側)矯正」と、「裏側(舌側)矯正」があります。

・メリット
比較的重度の不正歯列でも、矯正治療が可能

・デメリット
治療中の見た目が気になる

○マウスピース矯正とは

マウスピースを装着することにより、段階的に歯を動かしていく矯正方法です。

・メリット
透明なマウスピースなので目立ちにくい

・デメリット
長時間マウスピースを装着しないと、矯正効果が出ない

 

セラミック矯正のデメリットや危険性について

セラミック矯正のデメリットや、危険性についてご紹介していきます。


○歯を削る必要がある
セラミックを被せるためには、歯を削る必要があります。削らずにセラミックを被せると、歯が大きく不自然な歯になってしまうためです。歯は削れば削るほど、その寿命が短くなると言われています。

○神経を抜くことがある
歯を大きく削ると痛みが出る可能性があるため、歯並びの状態によっては神経を抜くことがあります。神経の中には血管があり、栄養を供給しているのですが神経を抜くことによってこの働きがなくなってしまい、歯の寿命が極端に短くなってしまいます。

また、歯がもろくなって将来的に割れてしまったり、根尖病巣という病気になってしまうことがあります。

○抜歯が必要になることも
極端に歯並びが悪かったり、歯ぐきの高さがそろわなかったりする場合、歯を抜かなければならないケースがあります。

○痛みがあることも
歯を削る治療なので、痛みがあることがあります。治療の際は麻酔注射をしますが、注射が苦手な方もいるでしょう。
また、仮歯やセラミックの歯を装着した後に、しみるような痛みを感じることがあります。2週間ほどで落ち着くことが多いですが、まれに痛みがおさまらないことがあります。

○将来的に歯ぐきが痩せてしまうと目立つ
加齢や歯周病によって歯ぐきが痩せてくると、セラミックの歯とご自身の歯ぐきとの間にすき間が開いてしまって目立ちます。
また、すき間に汚れがたまりやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが高くなるというデメリットもあります。そのため、将来的に再度セラミック治療をしなければならないというケースもあります。

○歯ぐきが黒ずむことがある
金属の土台を使用して治療を行った場合、将来的に金属が溶け出して歯ぐきが黒ずんでしまうことがあります。

○見た目が不自然になることも
見た目が美しいのがメリットのセラミック矯正ですが、不自然になってしまうこともあります。例えば歯の色が白すぎて浮いてしまったり、いかにも作ったような人工的な歯になってしまったりというケースがあります。

○かみ合わせに違和感が出ることがある
セラミック矯正は、根本的なかみ合わせを治すものではありません。治療によって、以前よりかみ合わせが悪くなってしまうケースも存在します。例えば、前歯がかみ合わなくなり食べ物がかみ切れなくなったり、顎に負担がかかるようになり、顎関節症になってしまったりします。

 

セラミック矯正を成功させるためには?

セラミック矯正で失敗したくない方は、以下の点を押さえておきましょう。

○デメリットを理解する
セラミック矯正のデメリットをよく理解した上で、治療方法を選択しましょう。

○治療前にしっかりカウンセリングを受ける 
特に、「審美性」と「かみ合わせ」についてを、カウンセリングの際に歯科医師によく確認しておくことが大切です。また、歯をどのくらい削るのか、痛みが出る可能性があるのか、神経を抜いたり抜歯をする必要があるのかをしっかり聞いておきましょう。

○矯正治療と審美治療両方に理解がある歯科医院を選ぶ
どんな治療方法が合っているのかは、患者さんのお口の状態によって違います。歯並びによっては、セラミック矯正以外の方法を選択したほうがいいことも。

そのため、セラミック矯正だけに力を入れている歯科医院ですぐに治療を開始せず、審美治療と矯正治療の両方を行っている歯科医院で、一度相談してみることをおすすめします。

○メンテナンスを受ける
治療後は、必ず定期的なメンテナンス(定期検診)を受けましょう。セラミックを入れた場所に問題がないかチェックしてもらい、必要であればかみ合わせなどの調整をしてもらいます。

セラミックの寿命は一般的に10年ほどと言われていますが、定期的に歯科医院に通いメンテナンスをすれば、寿命を長くできます。歯周病による歯ぐきの痩せや、歯を失うリスクを減らすためにも、必ず定期検診を受けましょう!

 

まとめ

セラミック矯正は危険だと言われることがありますが、基本的には虫歯治療と同じように歯を削って被せ物を被せる治療なので、特別に危険なものというわけではありません。

ただ、健康で削る必要のない歯を削らなければならず、歯の寿命が短くなるなどのデメリットはあります。

メリットやデメリットをよく理解し、ご自身に合った矯正治療を選択するようにしましょう。

 

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投稿者: 西本歯科医院