「歯並び」というものは人によって大きく異なり、後天的に歯並びが悪くなってしまうケースもあります。
いわゆる「歯列不正」と呼ばれる状況ですが、これを放置するとさまざまな健康被害をもたらす可能性があるのです。
そこで今回は、歯列不正とは何なのかについて解説します。
歯列不正の種類
まずは、歯列不正の種類について解説します。
叢生
顎の大きさが小さいなどの原因で歯が生えるスペースが足りず、歯がでこぼこしている状態を指します。
幼少時に指や舌を噛む癖があると叢生になる可能性が高まるとされています。
4種類の歯列不正の中で症例の割合が最も多く、これを放置した場合は歯磨きがしづらいことによって歯周病や虫歯などのトラブルのリスクが高まり、口臭が悪化しやすくなるのです。
上顎前突
前歯や歯茎、上顎が飛び出している状態で、いわゆる「出っ歯」とも呼ばれている症状です。
見た目が悪いだけではなく、ケガをしやすかったり咀嚼がしにくくなるといったデメリットがあります。
生活習慣においては、口呼吸や指しゃぶりなどの癖が上顎前突の原因となるリスクを高めるとされています。
下顎前突
下の歯が突き出ている状態で噛み合わせが上下逆になっており、いわゆる「受け口」と呼ばれている症状です。
見た目の悪さだけでなく、発音への影響や顎関節症を発症するリスクを高めるといったデメリットがあります。
指しゃぶりや舌で下の歯を押す、頬杖をつくことが多いといった生活習慣の癖、口呼吸の癖が後天的な原因となる場合があるのです。
開咬
奥歯を噛み合わせても前歯が噛み合わず、口が自然に開いてしまう状態です。
この歯列不正になると本人も気づかないうちに奥歯を使いすぎているケースがあり、顎関節や筋肉に無用な負荷をかけて顎関節症を併発していることもあります。
生活習慣においては、指しゃぶりや口呼吸などの癖が開咬の原因になっているケースが多いです。
歯列不正による症状
歯列不正を放置すると、さまざまなデメリットを受けることになると考えられます。
見た目のコンプレックス
歯列不正は、その見た目の悪さからコンプレックスに感じる方が少なくありません。
人前で笑ったり食事をするなど、歯並びを見られてしまうようなシーンを嫌がるようになり、どうしても人付き合いに支障をきたすことになります。
コロナ禍においてはマスクをすることでこの問題を解消できますが、いずれ人前でマスクをするのがあまり自然ではなくなった際に困ることになるでしょう。
歯の病気の原因になる
歯列不正は、歯磨きの難易度が上がり虫歯や歯周病などの口腔内トラブルのリスクを高めてしまいます。
不正な歯並びは歯ブラシが細かい部分にまで届きにくくなってしまい、どうしても磨き残しが増えるなど歯磨きの質を低下させてしまうのです。
虫歯や歯周病などのトラブルがあると歯列矯正をスムーズに開始することができなくなってしまいますので、早めに治療を開始しないと完治までに相応の時間をかけることになるでしょう。
食事に支障をきたすようになる
歯列不正は上下の歯のかみ合わせが悪い状態ですので、必然的に「食事」にも咀嚼の観点で悪影響を及ぼすことになります。
消化不良の原因になることもあり、自然と食事に対して消極的になってしまうでしょう。
発音に支障をきたす
一部の言葉の発音には、少なからず歯の動きが関わっています。
不正な歯並びだと一部の言葉を発音しにくくなったり、舌の動かし方などの癖が残ってしまうと歯列矯正後も発音の不正が残ってしまうケースもあるのです。
歯列不正の治療法
歯列不正を治療する一般的な方法は「歯列矯正」です。
歯列矯正はワイヤーやマウスピースなどの専用の器具を装着することで不正な歯並びを少しずつ動かし、正常な歯並びへと直していく治療法になります。
ただし、器具を装着するだけでは歯列不正を改善することができなケースも多く、その場合は歯を動かすスペースを確保するための抜歯や、あごの骨を手術するなどの治療を選択することもあります。
歯列矯正が完了するまでにかかる期間は、歯列不正の症状の重さや、選択する治療法によって異なります。
軽度の歯列不正であれば負担の少ないマウスピース矯正で、早ければ半年ほどで治療を完了できるケースもあります。
一方で重度の歯列不正の場合だとマウスピース矯正は適切な症例にはならず、ワイヤー矯正を選択して数年単位で歯並びを改善していく治療方針を選択することも多いです。
また、治療開始時に虫歯や歯周病などのトラブルが発覚した場合、そちらの治療を優先します。
歯列矯正というと子供がやるイメージをお持ちの方も多いですが、大人になってから歯列矯正を行っても決して遅すぎるということはありません。
歯列不正を放置するデメリットは決して小さなものではありませんので、歯並びが気になるという方は早めに歯科医院に相談して治療を開始してください。
まとめ:健康被害をもたらす歯列不正は早めに治療を開始しよう
歯列不正は、心身ともにさまざまなデメリットをもたらす存在です。
大人になってからでも歯列矯正は遅いということはありませんので、まずは気軽に歯科医院に相談して、治療方針を決定してください。