2021.05.28更新

セラミックと銀歯の違いは?前歯や奥歯など部位ごとのおすすめをご紹介

むし歯が進行して歯を大きく削って修復する必要がある場合、詰め物では強度が足りないため部分的な被せ物や、歯全体を被せる必要があります。

治療の際に「銀歯」か「セラミック」の選択肢を迫られて、すぐに決めることは困難ではないでしょうか?そこで、セラミックと銀歯の違いを解説します。

 

セラミックとは

セラミックは陶器のことを言います。むし歯が進行して大きく削った際に、人工的に補う素材の一つです。歯科用で使用されるセラミックは、強度が強く審美性に優れています。

 

セラミックの種類

セラミックは歯科医院によって種類が異なりますが、ここでは代表的な種類を紹介します。

 

オールセラミック

全てセラミックのみを使用した素材です。白く透明感があり、審美性に優れています。天然の歯と同じ色を出すことができます。

 

ハイブリッドセラミック

セラミックとプラスチックが混合している素材です。オールセラミックやジルコニアと比べると強度が落ちますが、費用が抑えられます。

 

ジルコニア

人工ダイヤモンドと呼ばれており、強度が非常に強い素材です。審美性はオールセラミックよりもやや劣りますが、奥歯にも使える素材です。

 

e-max

ガラスセラミックと呼ばれる新しい素材です。強度が強いにもかかわらず、摩耗性がある素材です。そのため噛み合わせに対する歯を痛めることがありません。

 

セラミックと銀歯の違い

セラミックと銀歯は色の違いだけではありません。以下の5つの違いがあります。

 

見た目

セラミックは天然の歯と色が馴染みやすく、目立たないのが特徴です。セラミックの素材によって透明度が高いものも製作できるので、審美性に優れています。

一方銀歯は口の中に入ると、非常に目立つため審美性はありません。

 

生体親和性

銀歯に含まれているパラジウムは、金属アレルギーを引き起こす可能性があります。口の中に金属が入ると、金属イオンが溶け出します。金属イオンは体内に蓄積する性質を持っており、今までアレルギーを起こしたことがなくても、急にアレルギーの症状が発生する可能性があります。

セラミックは生体親和性に非常に優れており、アレルギーの心配はありません。

 

むし歯のリスク

セラミックは表面がツルツルしているので、歯垢がつきにくい特徴を持っています。銀歯は表面に傷がつきやすく、歯垢が溜まりやすいため、むし歯や歯周病といったリスクが高くなります。

またセラミックは歯を削った型にぴったり合うように製作ができますが、銀歯は素材の性質上ぴったり合うように作れません。そのため接着剤で隙間を埋めます。接着剤は月日が経つと劣化し、歯と銀歯の間に隙間ができ、その隙間に汚れが入り込んでむし歯になる可能性があります。

 

費用

銀歯は保険が適用されるため費用を抑えることができます。一方セラミックは自費診療のため費用は高くなります。

またセラミックの種類によって金額が異なります。

 

軽さ

金属でできている銀歯は重く、歯に負担がかかります。セラミックは軽い素材なので、歯に負担をかけず修復が可能です。

 

部位ごとのおすすめ

セラミックを選択する際は、部位によって最適な素材が異なります。

前歯

見た目が重視される前歯はオールセラミックがおすすめです。オールセラミックは天然の歯と同じような色と透明感のある歯の再現ができます。また劣化もせず歯肉との境目が美しく仕上がります。

保険治療の場合は「硬質レジン前装冠」で白い歯になりますが、表面はプラスチックによって色を再現します。そのため透明感がなく、長期間使用すると劣化するといったデメリットがあります。

また前から4・5番目の歯は保険が適用されるCAD/CAM冠で修復ができます。セラミックよりも強度が劣りますが、保険が適用されるためほとんどの方がCAD/CAM冠を選択します。

 

奥歯

奥歯は強度が高いジルコニアか、e-maxがおすすめです。奥歯はほかの歯よりも噛む力が強くなります。そのため奥歯の素材の強度が重要になります。

ただしジルコニアのように硬さがある素材は、かみ合う歯がすり減ってしまう可能性があります。そのためジルコニアはかみ合わせの調整が重要になります。セラミックをご希望される方は、経験を積んだ歯科医師のもとで治療を受けることをおすすめします。

 

噛み合わせに合わせて選択する

セラミックは費用が高ければ良いものではなく、噛み合わせに合わせて種類の選択をすることが大切です。そのためセラミック治療は歯科医師の十分な知識と技術が必要とされます。

 

まとめ

セラミックと銀歯は審美性の違いだけではありません。セラミックはむし歯になりにくい特徴を持っていますが、噛み合わせの力が強いと割れてしまうリスクがあります。そのため、歯ぎしりや食いしばりなどしている方や、かみ合わせが強い方にはあえて銀歯をすすめることがあります。

セラミックと銀歯で迷われている方は、歯科医師とよく相談し、納得したうえで選択をしましょう。

投稿者: 西本歯科医院

2021.05.11更新

前歯だけをキレイにしたい!気になる前歯矯正のメリット・デメリットをご紹介

近年若い年齢層の間で、前歯だけ矯正をしたいと考えている方が増えています。

「前歯のすきっ歯が気になる」
「前歯だけ歯並びをよくしたい」

と考えている方も多いはず。前歯矯正は部分矯正とも呼ばれており、気軽にできる矯正として紹介されていますが、理解してから始めないと後悔する可能性があります。そこで前歯矯正のメリットとデメリットを紹介します。

 

前歯だけの矯正はできる?

部分矯正は症例にもよりますが、前歯だけの矯正は可能です。 従来の矯正では「全顎矯正」と呼ばれる矯正で、歯並びやかみ合わせの改善を行っていましたが、前歯だけ歯並びの改善を目的として行う「部分矯正」を希望される方が増えてきました。

しかし、奥歯の噛み合わせが改善されないため、全体の仕上がりに限界があります。前歯だけでもきれいに揃うと見た目の印象が変わりますが、前歯の矯正を行う前にしっかりメリットとデメリットを理解しておきましょう。

 

前歯矯正のメリット

前歯矯正は歯の一部を動かす治療方法です。様々なメリットがあるので、事前知識として知っておきましょう。

 

全部矯正と比べて金額が安い

全部矯正と比べると、安く済むことがあります。歯科医院や症例、矯正方法によって異なりますが、おおよその金額は30~80万円です。

 

比較的短期間で矯正が可能

前歯の矯正は比較的短期間で矯正が可能です。奥歯と比べて前歯は歯の根っこが短くなっています。そのため歯を動かしやすく、短期間で済みます。

全部矯正では1年半~2年半ほど期間を必要としますが、前歯の矯正では半年~1年ほどと、短期間で前歯の歯並びを改善することができます。

 

かぶせ物をせずにきれいな歯並びになる

かぶせ物で前歯の並びを改善する治療方法もありますが、自分の歯を大きく削ってかぶせる必要があります。前歯の矯正は自分の歯を動かすため、一部の症例を除いて削らずに歯並びの改善が可能です。

またかぶせ物の場合は寿命があるため、定期的なメンテナンスやいずれやり替える必要があります。

 

前歯矯正のデメリット

メリットが多い前歯の矯正ですが、デメリットをしっかり理解したうえで治療方法を選択する必要があります。

 

かみ合わせの改善はできない

歯の一部を動かすため、奥歯のかみ合わせの改善は見込めません。本来の矯正はかみ合わせの改善を目的としています。かみ合わせが改善されると歯にかかる力を分散し、生涯に渡って多くの歯を残すことができます。部分矯正を選択する際はかみ合わせを考えて選択することをおすすめします。

 

前歯の矯正では仕上がりに限界がある

矯正治療は高額な治療になるため、結果に期待を持ちます。しかし、重度のでこぼこした歯並びや八重歯といった症例では、仕上がりに限界があります。仕上がりの限界があることを知らずに前歯の矯正を行ってしまうと、後から「イメージと違う」といったトラブルの原因となります。

前歯だけの矯正を行う際は、歯科医師とよく相談して矯正のゴールを決めることが非常に大切です。また矯正方法によってシミュレーションで治療後の歯並びを知ることができます。トラブルにならないためにもしっかりと説明を受け、理解したうえで治療を始めましょう。

 

歯を動かすスペースを確保するため削る必要がある

でこぼこした歯並びを改善する際に、歯を並べるスペースの確保が必要です。そのため歯と歯の間を0.03~0.08mmほど削る必要があります。

 

前歯の矯正方法

前歯の矯正方法はブラケット矯正とマウスピース矯正があります。

ブラケット矯正

重度のでこぼこした歯並びや歯を抜く必要があるケースはブラケット矯正が向いています。ブラケットと呼ばれる装置を歯の表面に装着して、ワイヤーを通す矯正方法です。

 

裏側矯正

ブラケットを歯の裏側に装着して、ワイヤーを通す矯正方法です。歯の裏側で矯正を行うため、気づかれずに歯並びの改善ができます。通常のブラケット矯正と比べて費用がやや高くなる傾向があります。

 

マウスピース矯正

軽度なでこぼこした歯やすきっ歯はマウスピース矯正が向いています。薄く透明なプラスチック素材のマウスピースを、1日20時間以上装着して歯を動かす方法です。目立たずに矯正ができるので近年人気がある矯正方法です。

 

まとめ

前歯の矯正は全顎矯正と比べて安く、短期間で治療が可能な矯正方法です。しかしメリットとデメリットをよく理解せずにはじめてしまうと「こんなはずじゃなかった」と後悔する可能性があります。

前歯の矯正では、良くも悪くもかみ合わせの改善ができません。一部の歯に負担がかかっており、歯の寿命が短くなる可能性がある場合は、全額矯正の選択をおすすめします。

前歯の矯正方法はブラケット矯正とマウスピース矯正があります。ケースによって向き不向きがあるので、歯科医師とよく相談して最適な矯正方法の選択をしましょう。

投稿者: 西本歯科医院