2025.11.05更新

セラミックの歯は医療費控除になる?なる/ならないの判断基準と確定申告の進め方

歯科治療でセラミックを使用する場合、見た目のためだから医療費控除にはならないと思われることも多いです。しかし、治療目的や処置内容によってはセラミック治療でも医療費控除の対象になるケースがあります。歯科治療では相応の医療費がかかるケースもあるので、控除の可否を分ける基準や申告時の注意点を、歯科医師の立場からわかりやすく解説します。

 

セラミック治療が医療費控除の対象になるケース

医療費控除の基本的な考え方は、病気やケガの治療を目的とした支出が対象です。例えば歯科治療なら、虫歯治療や事故による歯の欠損などを治すために、人工の詰め物やクラウンを使用します。一般的な考え方として、医療費控除は健康を目的としない、審美性を追求したものを含まないことが多いのです。そのため、審美目的ではなく健康機能の回復が目的の歯科治療であれば、審美性が高いセラミックでも控除を受けられる場合があるということです。

例としては、以下のような治療のケースが挙げられます。

・虫歯治療で歯を削り、クラウン(被せ物)をセラミックで作った
・銀歯が欠けて、その再治療でセラミックに交換した
・噛み合わせや咀嚼機能を回復する目的で補綴(ほてつ)を行った

一方で、似たような事例ではありますが、以下の治療の場合は対象外になる可能性が高いです。

・見た目を美しくする目的だけでセラミックへ変更した(欠損の治療のような緊急性がない施術)
・ホワイトニングやラミネートベニアなど審美目的の処置

このように、歯科治療における医療費控除の対象になるかどうかの判断は「機能回復を目的としているかどうか」が最も重要な判断基準です。ただし、歯科治療や医療費控除などの制度に詳しくないと、治療内容を聞いただけでは医療費控除の是非を判断することは難しいでしょう。そのため、セラミックを使った歯科治療を検討するにあたっては、歯科医院のカウンセリングを利用することをおすすめします。適切な治療方針を相談するだけでなく、治療内容に対して医療控除など役立つ制度を利用できるかどうかも教わることができるでしょう。

 

治療内容ごとに見る!医療費控除の判断基準

具体的な治療方針や制度の利用については、本格的に治療を開始する前に歯科医院で相談することをおすすめしますが、前もって判断基準を知っておくことは役に立つでしょう。そこで、治療内容ごとにどのような判断基準で、医療費控除が適用できるかについて解説します。

 治療内容ごとに見る!医療費控除の判断基準

 医療費控除の申告に際して、治療目的がどちらに該当するかを明確に説明できるように、治療明細書や診療内容の記録を保管しておくことが大切です。関連する書類等をまとめてファイリングしておき、すぐに、まとめて取り出せるようにしておくと、いざという時に必要書類を速やかに準備することができるでしょう。
上記の対応表は、あくまでも「原則として、この治療内容なら医療費控除の対象になるはず・ならないだろう」という基本的な内容です。そのため、ラミネートベニアの項目にもあるように、一見すると対象外に思える治療内容でも、患者さんの症例やその他の事情から、医療費控除が適用できる余地が残されている場合もあります。

 

医療費控除で申告できる費用とできない費用

医療費控除では、適切に申告することで、関連するさまざまな費用負担を申告金額に含められる可能性があります。歯科治療において対象になるのは、治療費本体以外にも以下のような費用です。

・通院のために利用した公共交通機関の運賃
・同居家族が負担した医療費(生計が同一の場合に合算できる)
・デンタルローンを組んだ場合の元金部分(利息など付随する支出は対象外になる可能性が高い)

一方で、次のような費用は申告しても医療費控除の適用外になる可能性が高いです。

・デンタルローンの利息や分割手数料(元金部分の金額は対象)
・マイカーで通院した際に利用した駐車場代やガソリン代など
・審美目的のオプション費用(色合わせ、ホワイトニングなど)

医療費控除の対象になると勘違いすると、思わぬ経済的な負担を強いられる可能性がありますので注意しましょう。 

 

医療費控除の申告方法

医療費控除は、対象範囲内であっても自動的に反映されません。対象となる医療費が発生した場合は、確定申告で医療費控除の適用を申請する必要があります。

申告の手順

1. 1年間の医療費を合計(対象内なら家族分も含めて集計)
2. 医療費控除の明細書を作成し、確定申告で税務署またはe-Taxで提出
3. 領収書や診療明細書を保管しておく(提出は不要ですが5年間は保存が必要)

控除額の計算式

医療費控除が認定された場合の控除額は、次の計算式のとおりです。

(1年間の医療費総額 - 保険金などで補填された金額) - 10万円
※所得200万円未満の場合は「所得の5%」が基準額

申告に必要な書

医療費控除のための必要書類は以下です。

・確定申告書
・医療費控除の明細書
・源泉徴収票
・本人確認書類(マイナンバー・運転免許証など)
・診断書(治療担当の医師によるもの)
・領収書など支払いの分かるもの・通院履歴など
・口座(還付金のため)
・印鑑

 

よくある質問

最後に、セラミックを使用した歯科治療に対する医療費控除について、よく相談される内容をまとめました。

Q.セラミック治療とホワイトニングを同時に受けた場合の医療費控除の適用範囲は?
A.審美(美容)目的で行ったホワイトニング部分は控除対象外です。治療目的のセラミック治療部分のみが対象となるため、費用を按分して申告する必要があります。

Q.デンタルローンを利用して支払った場合は、医療費控除の対象になる?
A.元金部分は対象になりますが、利息や手数料は控除対象外です。

 

まとめ

歯科治療において審美性が高いセラミック治療でも、虫歯や事故による歯の破折など、治療目的であれば医療費控除を受けられる場合があります。重要なのは、治療の目的を明確にし、医療費を証明できる領収書や明細書をきちんと保管することです。医療費控除の対象になるかどうか独自での判断が難しい場合は、歯科医院でのカウンセリングのほか、治療後であれば税務署や税理士などの窓口に相談してください。

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投稿者: 西本歯科医院

2025.11.01更新

ホワイトニングの色戻りは早い?原因・色戻りまでの期間や予防法を解説

せっかくホワイトニングで白くなった歯も、時間が経つと「前より色が戻ってきた気がする…」と感じることがあります。この現象を色戻りと言いますが、多くの方が同様の経験をしているでしょう。実は、正しい知識とケアを行えば、ホワイトニング後の白さを長持ちさせることが可能なのです。そこで今回は、ホワイトニング後に起こる色戻りの原因や、どのくらいで戻ってしまうのか、その予防法を歯科医師の視点から詳しく解説します。

 

ホワイトニング後に色戻りが起こる原因

ホワイトニングで白くなった歯が再び黄ばんで見えてしまうのは、歯の構造と生活習慣の両方にその原因となる理由があります。歯の白さが損なわれる主な原因は、以下の4パターンです。

 

1. 食事や飲み物による着色(ステインの再付着)

1つ目の原因は、食事や飲み物など、食べたものに含まれる色素による着色です。コーヒーや紅茶、赤ワインやカレーなど、色の濃い飲食物に含まれる色素が歯の表面に再び付着すると、ホワイトニングした後でも歯の白さが失われてしまいます。また、ホワイトニング直後は歯の表面(エナメル質)が一時的に脱水状態になっており、食べ物に含まれる色素を吸収しやすい状態なのです。濃いめの色素を多く含んだ食べ物を普段から好んで食べている場合だと、歯が着色してしまうリスクを高めることになるでしょう。

 

2. 喫煙によるタール沈着

2つ目の原因は、喫煙によるタール沈着です。タバコのヤニ(タール)は強力な着色物質でもあり、ホワイトニング後の歯に定着しやすい傾向があります。喫煙習慣があると、ホワイトニング効果が持続しにくい最大の要因となるのです。ホワイトニング直後は飲食物による色素沈着リスクも高いため、喫煙の習慣や食の好みによって、色戻りのリスクは大きく変動します。 

 

3. エナメル質の再石灰化

3つ目の原因は、エナメル質が再石灰化する影響です。ホワイトニング直後の歯は水分が抜けて白く見えていますが、時間とともに唾液中のミネラルが戻ることで本来の透明感が復活します。その際に、相対的にやや黄色味を帯びて見えることがあるのですが、これは色戻りではなく、自然な再石灰化による変化なのです。つまり、ホワイトニングを受けても時間経過とともに歯の白さは直後の段階から徐々に変化するのは自然なことだと言えます。 

 

4. 生活習慣と口腔ケア不足

4つ目の原因は、口腔ケアの不足など生活習慣による色戻りです。歯磨きの頻度や方法に問題があると、プラーク(歯垢)やステインが蓄積してしまいます。短期間ならまだしも、これが慢性的に続いてしまうとホワイトニング効果が短期間で低下してしまうのです。いくらホワイトニングで歯を白くしても、デンタルケアが不十分であれば白さが損なわれるのは当然です。人によってはあまり影響のない生活習慣でも体質やそれ以外の生活習慣等が関係していることもあるので、意外な原因で色戻りが起こっている可能性もあります。 

 

色戻りはいつ起こる?期間の目安

ホワイトニングの持続期間は、施術方法や生活習慣により異なります。ホワイトニングの施術方法に関しては、以下のような目安です。

・オフィスホワイトニング : 約3〜6か月(即効性があるが戻りも早い)
・ホームホワイトニング : 約6か月〜1年(持続性が高い)
・デュアルホワイトニング : 約1〜2年(最も持続する)

「デュアルホワイトニング」は、歯科医院での施術を中心とするオフィスホワイトニングと、自宅でのケアを中心とするホームホワイトニングを、同時期に並行して行うやり方です。オフィスとホーム両方のメリットを享受できますが、その分だけ費用や手間の負担が増加するので注意が必要です。また、ホワイトニング後に問題がなくても自然に色戻りは起こるので、何を理由として歯を白くしたいのか、その目的に合わせて施術方法やスケジュールを調整することも重要です。

 

ホワイトニング後の色戻りを防ぐ方法

せっかくホワイトニングで歯を白くしても、元の状態に戻ってしまえば満足感は薄れてしまうでしょう。完全に防ぐことは難しいですが、少しでも色戻りのリスクを抑える方法を解説します。

 

1.色の濃い飲食物を控える

ホワイトニング後24〜48時間は、着色しやすい飲食物をできるだけ避けましょう。コーヒーや紅茶、ワインやカレーなどは特に注意が必要です。しばらくすれば歯の状態が元に戻るので、その後はコーヒーやカレーを口にしても、ホワイトニング直後ほどは色戻りのリスクは高くありませんが、完全にゼロではないため、濃い飲食物を摂った後は水でうがいをするなど、日常的なケアを心がけましょう。

 

2. 喫煙を控える

タバコのヤニは、特にホワイトニング直後の歯に付着しやすくなっています。歯の白さを損なう主な要因の一つとされているので、ホワイトニング直後1週間だけでも控えることができれば、色戻りのリスクを大幅に減らせるでしょう。健康上の懸念もありますので、できればホワイトニングをきっかけに禁煙をおすすめしますが無理は禁物なので、せめてホワイトニングから1週間ほど我慢してください。 

 

3.ステイン除去効果のある歯磨き粉を使用

ホワイトニング後のデンタルケア向けに、ステインを除去する効果のある歯磨き粉の使用もおすすめです。ポリリン酸ナトリウムなどのステイン吸着成分を含む歯磨き粉は、着色物質が歯に付着するのを防ぐのに有効な手段です。ただし、研磨剤の多い製品は歯を傷つける原因になり、特にホワイトニング直後のデリケートな状態になっている歯にはダメージが大きくなります。研磨剤が多い歯磨き粉は避けて、低研磨タイプを選びましょう。 

 

4. 定期的なメンテナンスホワイトニング

ホワイトニング後、歯科医院で3〜6か月ごとに「リタッチ」を行うと、歯の白さを維持しやすくなります。また、持続効果の高いホームホワイトニングを、半年に1回行うのもおすすめです。歯科医院で見てもらえば歯の状態を細かくチェックできるので、白さだけでなく健康上のメリットも大きいでしょう。 

 

色戻りしにくい歯をつくる生活習慣

ホワイトニング後の色戻りには、ご自身の生活習慣も大きく影響します。そのため、以下の点を気を付けて生活すると良いでしょう。

・水やお茶でこまめにうがいをする
・食後30分以内にブラッシングを行う
・歯科医院で定期的にクリーニング(PMTC)を受ける
・睡眠習慣や食生活を整えて唾液の分泌を促す

 

色戻りしてしまったらどうすればいい?

どれだけ注意しても、ホワイトニングで白くなった歯は時間経過とともに見た目が変化します。色戻りを感じたら、早めの再ホワイトニングを検討しましょう。こまめに通院しておけば、部分的なリタッチや全体の再施術など、状態に合わせた対応も可能です。

 

まとめ

ホワイトニング後の歯の色戻りは避けられない現象ですが、正しいケアを続けることでその悪影響を大幅に抑えられます。着色しやすい食品を控えてステイン除去歯磨き粉を使い、定期的なメンテナンスを受けて歯の状態を良好に保ちましょう。白く輝く歯を長く維持するためには、日々の習慣が最も大切なのです。

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投稿者: 西本歯科医院


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