歯並びが気になっているので矯正治療を考えているという方は多いですが、ワイヤーなどの装置をつけるのには抵抗があり、治療に踏み切れないという方も多いのではないでしょうか。
そこで、従来のワイヤーやブラケットを装着する矯正方法ではなく、マウスピースを使った矯正方法が近年人気になっています。
しかし、ひとくちに「マウスピース」と言っても種類があります。有名なものに、インビザラインとアソアライナーがありますが、どちらがいいのか、よくわからない、この2つの違いについて知りたいという方もいると思います。
そこで今回は、マウスピース矯正装置の種類「インビザライン」と「アソアライナー」の違いについて解説します。
マウスピース矯正とは
マウスピース矯正は、透明に近く目立ちにくいマウスピースを装着することによって歯を矯正する方法です。
従来のワイヤー矯正とは大きく違い、目立ちにくく、ご自身でマウスピースを脱着できるのがポイント。
矯正治療中も、食事や歯磨きのときにはマウスピースを取り外すことができ、ストレスを感じにくいです。また、治療中でも歯磨きがしやすく、お口の健康を保ちやすいのも特徴です。
マウスピース矯正の種類
マウスピース矯正には、いくつかの種類があります。
もっとも有名なのが「インビザライン」で、マウスピース矯正の代名詞として使われることもあります。また、「アソアライナー」も有名です。その他にもいくつかの種類があります。
ここでは、よく使われる「インビザライン」と「アソアライナー」について詳しく解説します。
「インビザライン」とは
インビザラインは、アメリカ「アライン・テクノロジー社」が作製しているマウスピース型カスタムメイド矯正装置です。米アライン社の最新のデジダル技術と多くの臨床データや特許を駆使した工場で、正確で再現性の高いマウスピースを製造しています。
1999年に「インビザライン・システム」から提供を開始し、2019年6月現在、世界100ヶ国以上の国々で700万人以上の方が、インビザラインで矯正治療をしています。日本では、2006年より正式導入されました。(http://www.invisalign.co.jp/)
○インビザラインの治療方法
1. 矯正歯科で、顔と歯の写真撮影、レントゲン撮影、デジタルスキャンや歯型などをとる
2. アメリカにあるアライン・テクノロジー社に写真やレントゲン、デジタルスキャンや歯型等の資料を送る
3. アライン社独自の3次元治療計画システムで治療計画をたて、アライナー(マウスピース)を約20から40を製造。矯正歯科に送ってもらう
4. 治療計画に乗っ取り、制作したマウスピースを装着する。歯の表面に歯と同色のノッチをつけたり、歯の幅を少し削ることもある
5. 4~6週ごとに歯科医院に通い、歯の移動を確認しながら矯正治療をすすめていく
6. 治療終了。歯の位置を安定させるために、リテーナー(保定装置)を使用することもある
○インビザラインの適応例
・抜歯無しで矯正可能な症例
・抜歯しても歯の根の移動が必要のない症例
・抜歯しなければならない症例だが、ワイヤー矯正による治療との併用が可能な方
・1日20時間以上、マウスピースを装着できる方
○インビザラインが適応できない症例
・上下の顎の位置が、大きく前後左右にずれている症例
・歯の「がたつき」がとても強い症例
アソアライナーとは
アソアライナーは、日本の東京に本社がある株式会社アソインターナショナルが製造するマウスピース型矯正装置です。インビザラインと同じように、透明に近いマウスピース型で取り外しができる矯正装置です。(https://www.aso-inter.co.jp/products/dol.html)
○アソアライナーの治療方法
1. 矯正歯科で、顔と歯の写真撮影、レントゲン撮影、デジタルスキャンや歯型などをとる
2. 日本にあるアソアライナーの技工所へ、歯形やレントゲン等のデータを送る
3. 技工所で「ソフト」「ミディアム」「ハード」の3種類のマウスピースを製造して、矯正歯科に送る
4. 7日間〜10日間で順番に「ソフト」「ミディアム」「ハード」の装置を変えて装着する(1ステップ)
5. 歯形を取り、アソアライナーの技工所に送り新しいマウスピースを製造してもらう。この工程を何度も繰り返して、歯の移動を確認しながら矯正治療をすすめていく
6. 治療終了。歯の位置を安定させるための、リテーナー(保定装置)はハードタイプのアライナーを使用する
○アソアライナーの適応例(基本的にはインビザラインと同じ)
・抜歯無しで矯正可能な症例
・抜歯しても歯の根の移動が必要のない症例
・抜歯しなければならない症例だが、ワイヤー矯正による治療との併用が可能な方
・1日17時間以上、マウスピースを装着できる方
アソアライナーを使用したマウスピース診療の詳細はこちら
インビザラインとアソアライナーの違い
基本的にはインビザラインとアソアライナーの理論は同じです。ただ、製造方法や装着感などに異なる点があります。
○製造方法の違い
インビザラインは最初に歯型を取った後にアメリカですべてのマウスピースを製造し、それを順番に装着しますが、アソアライナーは治療中に何度も歯型を取り、その都度新しいマウスピースを製造します。
そのため、歯形を取るのが苦手な方は、インビザラインの方が、負担が少ないでしょう。
ただ、以前のアソアライナーは毎回印象採得(歯形採取)をする必要がありましたが、現在は1回の印象採得で1ステップ、3ステップ(メーカー推奨)、5ステップの3パッケージより選択が可能になっています。つまり、以前よりは負担が少なくて済みます。
また、アソアライナーは日本に製造所があるので、装置の制作までの期間が短いです。(10日~3週間程度)
○装着感の違い
アソアライナーはプレートの硬さが、「ソフト」「ミディアム」「ハード」と3種類あり、矯正力をコントロールしながら装着します。そのため痛みや違和感が出にくいといわれています。
○その他の違い
矯正途中に虫歯になってしまうなど、歯のトラブルが起きる可能性があります。
しかし、アソアライナーなら虫歯の治療で歯の形が変わってしまったとしても、また新しいマウスピースを製造できるので問題がありません。
一方、インビザラインでは矯正治療中に歯の形を変えることができないため、虫歯治療に制限があります。
まとめ
矯正治療は、歯並びの状態や要望によりさまざまな治療方法があります。
今回は、矯正装置として多く用いられているマウスピース「インビザラインとアソアライナーの違い」についてご紹介しました。
どちらがおすすめなのかは、人それぞれ異なりますから、矯正歯科医院で相談して、ご自身に合った治療方法を選択されるとよいでしょう。歯科医師にしっかり相談することで、あなたに最も良い矯正方法を決めることができますよ。