2025.12.05更新

リテーナーとは?矯正後に必須の保定期間・種類・正しい使い方と注意点

 

リテーナーとは何か?

「リテーナー」は、歯科矯正で歯並びを動かした後、その状態を維持するために使用する保定装置のことです。

歯科矯正は患者さんの口の中の状況に合わせて矯正器具を装着し、少しずつ歯並びを適正な位置に動かしていきます。
リテーナーは、矯正器具で歯並びを動かした後、歯が元の位置に戻らないように維持するための「保定」に使用します。

どれだけ強力な矯正器具を用いても、動かした直後の歯並びは後戻りしやすい状態であり、せっかく矯正した歯並びが再び悪くなってしまいます。
その間、リテーナーを装着することによって矯正後の状態で歯並びが安定するまで動かないようにする必要があるのです。

リテーナーは矯正器具ほど強い力がかかりませんが、何も装着していない状態より格段に歯を固定する程度の保持力を有します。
リテーナーの中には取り外しが簡単なタイプもあり、食事や歯磨きの際に取り外すことが可能です。

正しく使用することで歯科矯正の効果をしっかりと固定できるため、歯科医院の担当医の指示に従って装着してください。

 

リテーナーが必須の保定期間

リテーナーを装着していなければならない期間は、患者さんごとに個人差があります。
これは歯科矯正自体にも言えることですが、患者さんの歯並びや歯の動き方など、矯正治療の難易度は同じではありません。

そのため、歯を動かす期間に患者さんごとの差があるのと同じように、リテーナーを必要とする期間も個人差があり、一概に何カ月かかるとは言い切れないのです。
ただし、多くの症例では矯正治療で歯を動かした期間と同じくらい、リテーナーによる保定期間が必要になると考えられています。

そのため、矯正に1年かかったら、リテーナーも1年間は装着しておく必要があると考えるべきです。
「気の遠くなる話だなあ」と思われるかもしれませんが、それだけ歯科矯正はデリケートな治療であり、長い時間をかけてでも歯並びを適正な状態にする価値があります。

もちろん、個人差がある以上は、矯正治療の期間より短い時間で保定が完了することもありますし、逆に保定期間の方が長くなることも珍しくありません。
また、矯正治療中はもちろんですが、リテーナーによる保定期間中も、定期的に歯科医院に通院する必要があります。

リテーナーの装着期間も含めた治療計画に不安を感じる場合は、治療前のカウンセリングでしっかりと確認し、治療期間中も気になることは積極的に担当医に相談してください。

 

リテーナーの種類

リテーナーを装着する際には、患者さんの症状など条件次第ですが、いくつかの種類から1つ選んで使用します。
大まかな分類としては、保定期間中に患者さんが簡単に取り外しできるタイプと、簡単には取り外しができないタイプに分かれます。

取り外しできるタイプは、マウスピース型やプレート型が挙げられ、患者さんによってはこれらを組み合わせて必要に応じて使い分ける治療方針も採用可能です。
取り外しができないタイプでは、専用のワイヤーを歯の裏側に取り付けて歯並びを保定します。

一見すると「取り外しが簡単な方がメリットがあるのでは?」と思われるかもしれませんが、取り外しできないワイヤー型にもメリットはあるのです。
「簡単に取り外せない」ということは「患者さんが意図的に外せない」「取り外した後に装着し忘れる事態にならない」ことになります。

矯正器具を正しく装着していないと矯正効果が十分に発揮されないのと同様に、リテーナーも正しく装着しておかないと、せっかく矯正した歯並びが元の不正な状態に戻るリスクを高めてしまうのです。

もちろん、何かしらの原因で器具が外れたり破損したりするリスクはゼロではありませんが、患者さんの意思による不正リスクが起こりにくい点はメリットになります。 

 

リテーナーを使用する際の注意点

リテーナーを装着するように指示された後は、いくつか注意しなければならない点があります。

リテーナーを指示通りに使わないことによるリスク

矯正から保定に移行した後は、担当医の指示に従ってリテーナーを装着しておかなければなりません。
取り外し可能なタイプのリテーナーを選択する場合、患者さんの意思で自由に着脱できますが、取り外す場合でも医師の指示する装着時間を守ることが重要です。
リテーナーは矯正した歯並びが元の位置に戻ろうとするのを防ぐ効果があるため、正しく装着していないと歯が動いてしまいます。

症状次第ですが、以下のリスクが考えられます。

・リテーナーを装着する際に痛みや違和感を感じる
・リテーナーが合わなくなり、装着できなくなる
・矯正治療の段階に戻らなければならない

いずれにしても、矯正治療が完了するまでの期間が延期されるリスクが高いのです

リテーナーのお手入れ方法

リテーナーを使用する期間中は、リテーナーを適切な方法でお手入れしなければなりません。取り外しできないタイプの場合は、担当医の指示に従って歯磨きをすればOKです。
一方で、取り外しできるタイプの場合は歯磨きに加えて、取り外したリテーナーを綺麗にする必要もあります。

基本的に担当医がお手入れ方法を指示するはずですが、基本的に「リテーナーを傷つけない」ことが重要です。
そのため、入れ歯用など毛先の柔らかいブラシを使用し、可能であれば専用の洗浄剤を使用しましょう。

逆に注意するべきお手入れ方法は以下の通りです。

・毛先の硬いブラシ(硬いと傷が付きやすい)
・歯磨き粉(研磨剤入りだと傷が付きやすい)
・お湯(熱で変形を起こす可能性がある)
・アルコール消毒液(変質する可能性がある)
・取り外し後に適当に放置する(紛失のリスクがある)

例えば「きちんとお手入れできないから、せめてお湯で洗い流しておきたい」という場合であれば、お湯ではなく常温の水で洗い流すだけでも多少の効果は期待できるでしょう。

 

まとめ:担当医の指示に従って正しくリテーナーを使おう

歯科矯正は長い時間をかける必要があり、リテーナーによって歯並びを固定できて、ようやく治療が完了します。
リテーナーを正しく使えていないと、苦労して整えた歯並びが崩れてしまい、治療期間が延びてしまうリスクが高いのです。担当医の指示に従って正しくリテーナーを使ってください。

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投稿者: 西本歯科医院


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